ワインは落ち着くほどに美味しくなる

ワインを美味しく楽しむために必要なことは、まず落ち着かせることなのです。

分子をいかに安定させるか、これが鍵になるといっても良いでしょう。

では分子が不安定になる要因とは何でしょうか。

振動が最も大きな要因なので今回は振動に絞ってお話をしたいと思います。


ワインが生産国から送られてくる際、まず陸送で船まで運ばれ、船によって日本へ運ばれます。この間トラックによる振動と船に乗っている間の緩やかな振動によってワインは非常に不安定な状況におかれます。よって輸入されたばかりのワインが本来の姿でないことは明らかなのです。特にスパークリング系ほど落ち着くまでに時間がかかります。空輸の場合比較的荒れていないことが多いのは、輸入されるまでの期間が短いという理由があります。


ワインの倉庫から個人宅や飲食店に運ばれますが、この際のトラック輸送によってワインの分子は荒れてしまいますので、基本2〜3日は最低でもワインを落ち着かせることが必要です。ワインは輸入された時期とトラックによってこちらまで運ばれてきた時期を換算し、どれほど落ち着かせたら良いかを計ります。


経験則によるとスパークリングワインは輸入されてから最低3ヶ月は経たないと本来の味わいが戻りません。理想は6ヶ月です。それ以外のワインは1ヶ月が目安です。落ち着いたワインほど短期の振動でも本来の味わいが戻るまでの時間が少なくてすみます。


振動の問題は配送時だけではありません。保存の際の問題もあるのです。最近新しいお店などでは店舗に対する出費を抑えるために、白や泡を冷蔵庫管理することが多いのですが、業務用の冷蔵庫は極めて振動が多く、入れているだけでワインが荒れてしまいます。これではいくらコンディションの良いワインでも本来の味わいを楽しむことは出来ません。


個人宅のワインセラーにも問題があります。古いワインセラーの場合、振動が多い場合があります。特に安価なセラーや購入から時間が経っている古いタイプのセラーの場合振動が発生していることが多いのです。新しいセラーに買い換えるか、メンテナンスを受けることをお薦めします。


個人宅のセラーの場合、プチプチなどに巻いたままセラーに入れておけば多少ですが、振動の影響を抑えることが出来ます。またセラーの設置環境が過酷なほど振動が多くなる傾向があります。直射日光を受けてしまうような場所や、飲食店ですと厨房など温度が高くなりがちな場所に設置するとワインセラーの能力が下がり、振動だけでなく温度変化による悪影響を受けがちです。設置場所にも注意して下さい。


ではワインは落ち着くとどのような違いが出てくるのでしょうか。


ワインは振動を受けるほどにドライになる傾向があり、ワインに明確な輪郭がなくなります。ぼやっとした印象だったり、旨みが明確に伝わらない状況になるのです。

ワインは落ち着くほどにワイン自体がもつ甘みが出てきて、ボディーもしなやかで一つ一つの分子が認識できるようなシルキーさが出てきます。輪郭も明確になり旨みの伝わり方が全然違ってきます。


ワインで最も大切なことは単純に旨みが伝わってくることなのです。これは振動だけでなく温度変化や他の要因もありますので是非他の章で学んで下さい。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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