液漏れに対する考え方とその原因を追及する

今回液漏れに関する問題があったのでそのことについて書いてみたいと思います。

液漏れとは熱廃によってワインが膨張しコルクが耐えられずに外に吹き出しその分ワインに空気が混入し酸化する問題です。

輸入状況によってワインの状態が違うことは他の章を読んでいただければ分かりますが、今回の問題は熱廃したワインの液漏れとは違う問題点です。

同じワインを何本か購入したお客様のワインが1本だけコルクがぬれ若干黒ずんでいるという問題点。ジェラール・シュレールのワインですがシュレールのワインはキャップシールがなくむき出しなのでそのことがすぐ分かります。

ジェラール・シュレールは打栓してすぐにワインを横にします。この際にワインが若干コルクにつくのです。まずそのことが若干黒ずんでいる要因とも考えられます。

もう一つはコルクの個体差と圧縮度の違い。

コルクは自然の物なので個体差があり、柔らかかったり硬かったり虫食いをしていたりブショネ要因の問題があったりと様々。コルク業者も昔と比べかなり気を遣ってはいますが、それでも個体差はあります。

ですからコルクが柔らかい場合ワインがしみこみやすいのです。

圧縮度は作り手によって違います。瓶の口の大きさは瓶によって違うので、当然口の直径が短いほど圧縮度は高くなります。信じられないほど抜くのが大変な場合もあります。しかし同じワインでも抜栓時のコルクの抜け方の差があります。

圧縮度の違いはワインの熟成にも影響し、硬いほど若い場合が多いのです。

ルロワなどは伝統的にわざと圧縮度を低くしています。最高級のコルクを使っていますからそのようなことをするのでしょうが、ワイン自体がコルクに見事にしみこんでいる場合もあります。

ワインの状態意外にもこのようなワイン特有の問題点があるのです。

ですからどこまでが問題なのかと言うことになってきます。飲み手の判断基準は経験と好みによって違ってきますのでできるだけ明確な判断基準が必要です。

私は状態の良いワインと言うことを基準にすれば、明らかに酸化し飲めなくなっている以外は、ワイン本来が持っているリスクと考えます。

日本に住んでいると、張ってあるエチケットがちょっと曲がっているだけで不良品となります。ところが農民でもある小規模生産者が多いワインの世界では、エチケットに問題があっても「あなたはエチケットとワインどちらを飲んでいるのですか?」と言うことになるのです。ワインを楽しむ以上多少のことは目をつぶることも大事なのです。

小規模生産者ほど秀逸な生産者が多く工業的なワインとは違うためその分リスクを内包していると考えるべきです。

日本人はまずは形からと言う概念があり、本質よりも形を大切にする文化。エチケットが綺麗だったらワインの状態も良いと勘違いしている人も多いのです。学んできたことを信じ、感覚が鈍感になっている人も多い。こういった部分が思い込みにもつながります。

インポーターによって大きく状態が違い、購入する酒屋さんによっても大きく状態が違います。何が正しくて何が間違っているのかを把握するのはただでさえ難しいのがワインの世界です。

ですから私はある程度はPUR SANGで正しいワイン世界をお伝えはできますが、あとはワインを実際に飲む皆さんの試行錯誤が大切だと思います。本質的な部分に気がつくにはどうしても試行錯誤が必要なのです。失敗を失敗としてではなく美味しいワインにたどり着く道であって一つ一つその経験で本質的な要因を探し出してください。ある意味科学者的な地道な努力。

今回の液漏れに近い状況はワイン本来が持つリスクと考えるのが妥当です。実際飲んで明らかに変質している場合以外は、熟成の進み方の違いとして把握するのが妥当と考えます。

PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000