ワインを保管する温度

ブルゴーニュに行くと多くの生産者は地下セラーをもっており、石灰岩を掘り進んだようなセラーは地下水によって温度が低く保たれています。作り手によっては10度を下回るところもあり、シャンパーニュと同様かなり低い温度でワインが保存されています。しかし最近の温暖化で温度が高くなるところも出てきているために多くの生産者はエアコンを導入しています。

イタリアなどでは陸上にセラーがある場合が多く、夏場などは20度を超える所もあります。

先日来日したアルヘイトに聞いたのですが、彼らのセラーは電気的に15度に保たれ陸上にあるそうです。アルヘイトもいっていましたが、そういった環境全てひっくるめて私たちのワインであるといっていました。

要するにワインは出荷されるまでの環境がある意味生産者のワインの一つの個性となるわけです。


温度帯が高い環境で育ったワインは、低すぎる環境に置くとワインが閉じる傾向があり、低い温度帯で育ったワインを高い温度帯で管理すると緩んでしまうことが知られています。


さてフランスの飲食店に行くと最近はセラーに入れられていることが多いのですが、昔は店内のそのまま置かれていました。フランスでは湿度が低く、店内はエアコンをかけなくてもある程度一定の温度に保たれていたために影響を受けないわけではありませんが日本とは雲泥の差があります。日本でも店内にそのままワインが置かれているところが未だにありますが、こういった状況を見て同じようにしているだけです。考えが浅いですね!


フランスでも2003年を境にエアコン導入が進み、温暖化によって今までと同じようにいかないようになっています。


最も酷い状況なのがフランスのワインショップです。ボーヌなどに行ってもワインはそのまま店内に置かれ20度を軽く超えている状況でもショップのドアは開けっ放しです。何度かそういったショップでワインを購入しましたが、状態は酷いなんてもんじゃありません。ゆるゆる、、。


日本の倉庫では関西と東京では環境が大きく違います。東京の多くの倉庫は最近では14〜15度管理が主流。ところが関西の倉庫は18度が主流なのです。関西の業者に18度では高すぎるので15度まで下げたらどうかと言ったのですが、見積もりを出させると保管料が倍以上になったそうです。年間にわたる温度帯が18度だとワインは明らかに酸がやられてきます。


倉庫でもワインが置かれる場所によっては温度変化が多いことが分かっています。優秀なインポーターほど事前調査をして温度変化の少ない場所を選んでいます。


さて生産者によっても大きく環境の違うワインをいったいどの温度帯で保存するのが良いのでしょうか。現在では理想的な温度帯は15度と言われています。


本来は生産者の環境に近い温度帯で保存することが最も理想的ですが、コスト面を考えるとそこまでは出来ないのが現実。そこで15度という折衷案が出てきたわけです。ただ最近の自然派ワイン、特に酸化防止剤がほとんど入っていなかったり無添加のワインの場合、もっと低い温度で保管しなければ酸化が進みやすいことも知られています。


ワインが育った環境がその生産者の個性を決める要因にもなりますが、その後の管理もワインの育ちといっても良いほどにワインの表情を大きく変えます。昔並行輸入物のヨーロッパのワイン商から購入した物を多く味わいましたが、ワイン商によってかなり差があり、蔵出しの物とのさも大きかったことを憶えています。


ワインはどのように保存するかでワインの表情に大きな影響を与えることを憶えておいて下さい。


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PUR SANG

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