インポーターを選ぶ基準
インポーターの重要性は、日本にワインが輸入される重要な部分をになっているので当然のことといえます。インポーターがワインの状態の全てを握っていると言っても過言ではありません。ただその後の扱いでワインの状態は変わってしまうので、酒屋さんや飲食店、ワインを楽しむワインラバーたちの扱いも当然重要です。
さて私がインポーターを選ぶ基準は、まずコンディションが良いことです。基準となるワインの状態はその生産者の蔵の状態が基準になります。今最も忠実にそれを再現しているのはラシーヌですのでまずはラシーヌが日本での模範といっても良いでしょう。ラシーヌの事務所での試飲会での味わいが基準となっています。ラシーヌのワインでも一度外に出てしまうと悪くなってしまっているものも多いためにやはりラシーヌが提供している状態が基準となります。
インポーターはその代表者、バイヤーの趣向や意図がそのインポーターの特徴となっています。ラシーヌのように最先端の優れたワイン、そして自然派でも最もピュアーな姿を持った作り手を追い求めている場合もありますし、ラフィネのように実際飲んだ際の飲み応えを大切にし、自然派だけではなく古典派まで幅広く扱うインポーターもいます。長年の歴史がその品揃えの凄さに驚かされるフィネス、ブルゴーニュの大御所がごっそりと揃っており、ローヌ、ラングドック&ルーション、ロワールに至るまで素晴らしい品揃え。その他にもインポーターにはそれぞれのわかりやすい特徴があります。どのインポーターもそれぞれにコンディション重視の意識の高さがあり、多くのインポーターとは全く違った高い意識を持っています。インポーターのスタッフや社長に会うとそのインポーターの意識レベルが分かりますし、良いインポーターほどスタッフを厳選しているのです。営業がのりが良すぎたり、ワインについての知識が乏しいほどそのインポーターの質が分かるというものです。
さてインポーターによってはコンディションに差がある場合があります。どうして差が出るかと言えば、まず生産者からワインをピックアップする段階での問題。これを完全に生産者に任せてしまうと蔵出しでちゃんと輸入しても大きな差が出ます。
蔵出しのものとワイン商から購入したワインなど出所の違うワインが混在している場合は当然コンディションに差が出てきます。出所が違うことを明確にしているところはまだ良いのですが、結構このことを明かさない場合も多いのです。
インポーターによってはワインの輸入担当者が国によって違う場合があります。こういった場合、フランスワインは買えてもイタリアワインは買えないという状況になってしまいます。
インポーターによっては直販ショップを持っているところがありますが、ショップの状態で良いところはまずありません。店舗にそのままワインを並べていることが多く、いくら店内を冷やしていたとしても部屋の温度差が大きくワインの酸が駄目になってしまっている場合が多い。昔とあるインポーターが倉庫から直接出すのではなく店舗から送ったワインがありました。あまりにもコンディションの差が大きく、すぐ返品しましたが、こういったことをやること自体が私たちの信用を失わせます。
インポーターのワイン自体がコンディションに差がありすぎると買う際に実にめんどくさいのです。
私は初めてのインポーターと付き合う場合は、安いワインで良いからサンプルを飲ませてもらいます。そのインポーターが事前にワインをこちらに送るのか、それとも手持ちで持ってくるのか、温度はどうなっているのか、持ってきた段階でそれを確認します。その上でワインを飲むのですが、その段階で全てが判明します。今までこのように事務所に来ていただき、使うようになったインポーターは二社のみでそれ以外はすべて全滅。輸入課程や扱いについて詳しく聞きますがほとんどが駄目なことが多い。サンプルを出さないインポーターは有料でも良いから数本ワインを送ってもらい飲みますが、ほぼ駄目なことが多い。いったいこの人たちは何のためにワインを扱っているのだろうと驚くことが多いのです。要するにかなり意識が低いのです。
ワインを判定するときはまずそこのインポーターで一番安いクラスで一番美味しいと思われるワインを選んでもらい飲むのが一番わかりやすいのです。安いワインの方が開いている可能性が高く熱によってすぐ壊れやすいので状態を把握しやすい。
最近は飲食店に行ってもあえて私たちが扱う以外のワインを飲むことも多くなってきています。あまりのひどさに唖然としその時間が無駄になる場合もありますし、あー何となく悪くないけど今ひとつだなと思うこともあります。まあとにかく合格点にいたるワインはほとんどないのが現状です。
最近はワインを飲めばどこでどう悪くなったのかが把握できるようになってきました。飲食店などでは扱いの悪さのために良いインポーターのワインでもあまり美味しくないことがありますが、だいたいどうして美味しくなくなったかは分かります。こういった原因を解明し皆さんにお伝えすることで改善していただければと思っています。
海外でワインを買ってもワインショップのワインはほぼ全滅です。日本の方がまだ良い場合が多く、それだけ進化してきてはいますが、まだまだというのが現状。もっとちゃんとしたワインを飲んでまともな発言の出来るプロが出て来ることを祈っています。
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