何故有名なワインとリーズナブル系のワインほどコンディションが悪いのか
私の経験上、有名なワイン、知名度の高いワインほどワインの状態が悪いのです。
有名なワインはとにかくよく売れます。私も欲しいと思う有名ワインが沢山あります。でも残念ながら納得できる状態のワインが極端に少なく、価格も高価だったりするのでなかなか手を出すことが出来ません。では何故有名なワインほどコンディションが良くないのでしょうか。
まず有名なワインほど売れてしまうということが原因。ワインショップでもとりあえず買うことさえ出来れば売れるわけですから何とかして手に入れたいと思います。世の中には様々なワイン商が世界中にありますが、状態の良いワインを扱っているところなどごく一部なのです。価格競争もありますから価格が一番安いところから買うことが多く、コンディションなど二の次。正規輸入元も黙っていても売れるので余計なコストをかけません。それが世界の頂点のようなワインでも同じなのです。
誰でも知っているとあるシャンパン。正規インポーターでもリーファーなど使わずに常温で輸入しています。でも有名ですしプロモーションが上手いために凄く売れています。私はかなり以前ブルゴーニュにあるこの作り手の親戚の家で同じシャンパンを飲んだのですが、あまりにも美味しいので吃驚しました。とても日本にある姿と違うのです。有名だから評論家の評価が高いからと言う理由だけでワインを買うと酷い結果に陥るのです。
こんなこと言ったら刺されるかもしれませんが、私はそんなワインは返品すれば良いと思います。私がフランスで飲んだワインと全然違うとでも言って返品する。そのくらいのことがないとどう考えても業界は変わっていかない。最終的にワインを飲んでいる皆さん次第なのです。まあやり過ぎですしあまりにも物議を醸す問題なので私がこんなことを言っていたなんて絶対に言わないで下さい。
これを読んでいる皆さんは普段からワインをお飲みになっている方々でしょうから、あまりワインを普段飲まない人とは違うでしょうが、一般の方がワインを人に贈る時は有名なワインを贈りがちです。やはりまだまだ皆さん有名なものがお好きな方が多い。有名であるという危険性、ワインをお好きな方はそれを肝において下さい。
しかしワインを作っている人たちもかわいそうですよね、、。一生懸命魂を込めて作っているワインが消費者が飲むときには悪くなっちゃっているんですから。日本に来日して自分のワインを飲んだときの生産者の顔。かわいそうの一言です。でも絶対に顔には出さないんですけどね。まあ生産者も知っているわけです。アメリカなどは合理的ですから濃いワインばかり買う。要するに悪くなってもとりあえず飲めるから。フランスでさえワイン・ショップの状態は最悪。でもだからしょうがないとは言えないのです。だって皆さんは日本でワインを楽しんでいるわけで、日本では最先端の設備が揃い、ラシーヌのような優れたコンディションのワインを輸入することが出来るわけです。
ビールだって最近は飲食店まで完全に冷やした状態で送るところもあるわけですし、最低でも鮮魚と同じレベルで扱って欲しいものです。腐った魚なんて食べたくないですからね。
さてリーズナブル系ワインです。世のインポーターの多くはリーズナブル系ワインに余計なコストをかけないことが多い。だってちゃんと輸入すると1本400円近くのコストがかかる。仕入れが400円を切っているワインに400円などかけたら価格競争に負けてしまう。ある意味こんな考え方です。
これは酒販店がまだまだワインに対応できていないからですが、本来ならインポーターが酒販店に指導する立場。でもはやりお金を払う方が強い立場がのため、そんなうるさいことを言ったら買ってくれなくなるので滅多に言いません。どうせ市場に出たらコンディションが良いワインもそんなに変わらなくなる、そんなことを肌身で知っているという部分もあるのかもしれません。
生産者も同じなのですが、とりあえずワインが売れないと先がないのです。黙っていても完売してしまうような生産者はまだ良いとして、そんな生産者はメーリングリストで直販している生産者くらいでしょう。要するにワイン業界は売ることが一番大切なのです。それは私も一部同じですが、ちゃんとしたことをやりながら商売を維持していくようなもっと大変なことをやらなければ好きなことは出来ない。だからうちは儲かっていませんから皆さん勘違いなさらないように。
リーズナブル系のワインは高価なワインに比べ要素は多くないのですが、その分早く開きます。ワインって開いたときが一番美味しい。だから本来状態さえ良ければへたをすれば高価なワインよりも美味しく感じることさえあるのです。
だからこそ、私は初めてのインポーターに会うときに安いワインを飲ませてもらうのです。リーズナブル系のワインが美味しければそのインポーターはかなりちゃんとしている可能性が高いのです。
それと注意して欲しいのはインポーターの一部ですが、試飲会に出すワインだけ空輸で取り寄せている場合があります。私も昔これに引っかかり酷いワインをつかまされたことがあります。一種の詐欺ですよね!
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