ワインは温度で表情が大きく変わる

ワインは温度によって表情の出方が全く変わってきます。

それぞれのワインが持つ甘さと酸の強さなども関係しているのでしょうが、1〜2度違っただけで全然美味しさの感じ方が違うのです。


昔は何でも冷やしてくれとか、グラスの氷を入れてくれなど無理な注文もありましたが、人それぞれで体温や外気の温度の感じ方が違うので汗をかきやすい人とかきにくい人、筋肉量が多い人と少ない人ではかなり感覚が違ってきます。以前オリムピックのレスリング強化選手だった人と知り合ったのですが、冬場でもマンション高層階にある家の窓は開けっ放し。家族は厚着してしのいでいるそうです。真冬の車でも窓は全開!ただワインの美味しさという意味ではあまり関係ないのでこれは無視して話を進めていきます。

ワインは糖度が高いワインほど冷やすほどに糖度の感じ方が弱まってきます。かといって冷やしすぎると旨みの成分を感じにくくなってきます。ドライ系のワインほど冷やすほどに単調になりやすく、温度が高すぎるとぼやけてきます。一番大切なことはそのワインにとって焦点が合うようにしてやることです。まさにカメラの焦点のあわせ方と一緒ですが、カメラのように自動的に焦点を合わせてくれるような道具はワインの世界にはないので自分でしなくてはなりません。現在赤は14〜15度、白は9度前後、泡は7〜8度前後といわれているのはあくまでも折衷案です。


ドライで質感は凄く良いけど味わいに深さがなく単調に感じるシャンパン、しかし16度以上に持って行くと驚くほどの表情が出てくる、私はそんな経験をしたことがあります。何故コンディションの良いワインはちょっと低い温度14〜15度が良いかといえばそれは酸が健全だからです。酸がしっかりと存在しているワインの方が酸を生かすためには少し冷やし目が良いのです。レモンなどの果実を想像すると分かると思います。

しかし当然先ほどのシャンパンのように例外もあります。

最近感じたのはクリスタルムのピノを飲んだとき。まだ若い2015年ですが、温度が高いとちょっと新世界的な南の感じの雰囲気が出てきて鼻をつくのですが、ちょっと冷やし目にすると焦点が定まり彼の魅力を感じることが出来るようになります。これが1〜2年たつとまた扱いが違ってくる。

アルヘイトのワインは逆で冷やすとタイトでそれなりに美味しいのですが、ちょっとぬるめにすると驚くほどの要素が出てきて吃驚!白などはバタール・モンラッシェの様で赤もぬるいと表情が素晴らしい。まるで別物のワインのようなのです。

例外もありますが、糖度やエキス分が高いと思われるワインほど温度が高めの方が表情が出やすいのかもしれません。酸が強めのワインは醸造温度が低い場合が多いのでちょっと冷やし目の方が美味しく感じます。コンディションの良くないワインが何故ぬるめの方が良いかといえば、それは多くの酸を失っているからです。

ワインは第一印象だけで判断してしまうと、美味しさを逃してしまうことがあります。とにかく面倒なのですが、やってみても良いなと思ったときにいろいろと試してみて下さい。その生産者に対しての経験値が上がるので、そのうち、あ!この生産者はちょっと温度高めの方が良いなと分かるようになります。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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