シャブリの理想的な姿アリス・エ・オリヴィエ
ラシーヌの合田さんが1996年から日本に紹介しているアリス・エ・オリヴィエ。
私が初めてそのワインを口にしたときはまさしく絶句したことを憶えている。シャブリと言えばフランソワ・ラヴノーというフランスでも突出した作り手もいるのだが、あのような神がかったワインはちょっとシャブリと言うよりももっと地域を越えた凄いワインなので別枠で考えよう。
シャブリでは世界的にムルソー的なワインが受けていたため、シャブリと言うよりコート・ド・ボーヌを意識したワインが多い時代があった。リーズナブル系のシャブリはドライで価格それなりのイメージがあったのだが、通常のシャブリはドメーヌを訪れると当たり前のようにクリスタルと書かれた袋が山積み。シャンパーニュの下に位置するだけに糖度が上がりにくく補糖するのが当たり前のような感じ。
最近は温暖化の影響もあり、以前と比べ遅摘みすることである程度の糖度は得られるようだ。
アリス・エ・オリヴィエのワインを初めて口にしたときの衝撃は凄かった。ドライで力強く今まで感じたことのない世界を見せられた感じだ。単純に口にしただけでこれがシャブリである理由が分かったような感じだったのだ。な〜るほどこれがシャブリがシャブリである所以。
最上級キュヴェであるロゼッテの熟成したものを以前飲んだのだが驚くほどの複雑さを見せていた。
ドライでキレがあり独特の厚みすらあるアリス・エ・オリヴィエのワインはここ数年でさえ常にヴィンテージの影響以外の部分で変化を見せ続けている。数年前は酸があまりにも強くドライすぎたりしたのだが、昨年あたりからは酸が少し緩やかになりドライ傾向にも歯止めがかかったような印象。これはヴィンテージの影響もあるのだろうが革新的であり実は当たり前のことをやっていたアリス・エ・オリヴィエのスタイルに少し余裕が出てきたとみるべきか。彼のワインは今まであまりに似た姿の生産者がいなかったが周りにも影響を与え始めているようである。
最近の酸化系の自然派を飲むとアリス・エ・オリヴィエが断然光って見えてくる。これぞ自然派なのだと。
0コメント