コート・デュ・ローヌのワインを見直す時期

20年以上前、コート・デュ・ローヌのワインは比較的リーズナブルで手を出しやすいワインとしてレストランで楽しまれていました。当然その頃はコンディションも重要視されておらずワインも置きっぱなしで温度が高く、ゆるく鼻につくような独特の香りにあまりいい印象を持っていませんでした。その当時はシャトーヌフ・デュ・パフのオールド・ヴィンテージも沢山入荷していましたし、シャプティエ、ギガル、などのグランクリュもそれほど高くなかったですし、ラヤスなどの特別なワインもそれほど皆さんご存知ではなかったので特別なワインばかり手を出していました。

最近は昔安かった有名ワインも高騰しなかなかでが出なくなってきました。世界中のワインが日本に輸入されるようになり現在ローヌのワインはなんとなく市場からあまり注目されていない存在のように感じます。

しかし実は私は最近ローヌのワインがかなり素晴らしくなっていると感じています。酒質の向上により妙に硬いようなワインは減り、驚くほどの魅力を発揮しているワインが多くなっているのです。そろそろ年末になるとジビエの季節。そんな時にぜひ知って置きたいのがローヌのワインです。

私が最近好きなワインはほとんどの作り手が酒質が向上し、信じられないほど滑らかでありながら厚みのある姿。妙に納得感が高く、昔に比べると独特の世界は減りつつありますが、その分飲み頃が難しくなくちょっと置いておけばかなり美味しくなる。残念なのはシャトーヌフ・デュ・パフのブルゴーニュばりの魅力が減ってしまったこと。ただシャトーヌフ・デュ・パフは熟成することで昇華するのでそれだけ古いワインが減ってしまったことも原因の一つです。

とにかく一番大事なのはワインの状態です。現在でもどうしようもないようなローヌのワインが巷に溢れていますが、ちゃんとしたワインを飲むとこんなに世界が違うんだと驚くはずです。特に早熟系のワインが増えた現在、酸化防止剤の添加量も減っていますから状態を重視しないと魅力の多くを失ってしまうのです。

グルナッシュはラヤスを飲めばわかるように独特のエレガントさを感じる世界を作り上げ、シラーは野性味に溢れた香りがするサン・ジョセフ、独特の深い世界を演出するエルミタージュなど素晴らしいワインが沢山あります。そしてそれらをブレンドしそれぞれの作り手が見事な世界を作り上げています。白も今まさに注目で、クレレットの魔術師ラヤス、そしてグルナッシュ・ブランは脂っこい料理にも負けない力強い酒質を感じます。この品種がどれほど素晴らしいか知るにはラヤスが手がけるシャトー・ド・テゥールの白を飲めばわかります。今までローヌの白に関心のなかった人もこれからは注目して欲しいと思っています。

特に現在はお酒だけを飲むというよりも食事中心の世界になりつつあり、そんな時に料理とワインという世界がワイン好きにとって新たに開拓すべき世界でもあります。そんな時ローヌのワインは皆さんに新たな世界を開いてくれると思います。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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