飲食店の魅力とは
昨日書いた【料理人に言いたいこと】に関してコメントをいただいたので改めてワインを出している飲食店に関しての私の私見を述べさせていただきます。
フレンチやイタリアンはもともと日本のものではないものを日本人のシェフたちが現地で学びそれを日本で紹介したのが始まりです。ですからその当初はそれだけで興味を引くものでしたし、シェフたちも日本にフランスやイタリアの文化を伝えるという意気込みだったと思います。
それが今や当たり前のようにどこの町にも数件はあるようになり、現地で学んでいないようなシェフも増えました。ですから今や昔のような気概でお店をやるというよりも、それぞれのシェフの料理を出すという感じで色々な要素を含んだ料理が増えていますよね。ようやくただのコピーではなく日本ならではのフレンチやイタリアンが増えまさにこれこそが正しい世界だと思います。日本料理が世界中に影響を与え同時に健康志向によってフレンチやイタリアンもかなり変化してきています。
さて日本の現状は飲食店過多で競争が激しく、美味しくないお店は消え去るのみ。それほど競争が激しくその分底上げされ不味くて食べられないようなお店は減ってきました。今レストランの原価を聞くと多分びっくりされる方も多いほどに飲食店は儲からない状態が続いています。お客様が入っていても昔のように儲かっていないのです。
このような状況だとお客様の見る目も厳しく色々な意味での満足度が高くなくては来店してくれないような状況があります。色々な意味での魅力がなければならないのです。
私は行列しているお店ほど美味しくないと感じていますが、じゃあ、料理が美味しければお客様が来てくれるかといえばそうではありません。行列するお店にはそれなりの理由があり魅力があるのです。人気店だからと言って料理が美味しわけではない。星を取るお店ほど意外と料理が日和見で今ひとつだったりする。ワインも同じでワインが美味しければ必ずしもお客様が来るわけでない。そこがある意味飲食店の難しいところです。
昔はワインブームが起こった時に、どこでもワインを飲みたいという人が増え、寿司屋でさえもワインセラーを置きボルドーを出していた時代もあります。今でもそんな感じのお店があるでしょうが、ワインとの相性は最悪です。でもその当時はそれでもよかったのです。隣でそれを見ているとバカじゃないかと思ってはいましたが、、。
飲食店は魅力がないと確実に潰れます。私も長年お店をやっていたのでその厳しさは肌身で感じています。その経験からすると、やはり常によく考え深めていかなければ何事も続かないということ。飲食店をやっていると忙しさと大変さでマンネリ化しがちで自分がやりたいことが見えてこなくなる時もあります。特に現状のように顧客の力が強すぎると自分の主張よりも顧客側の意向を聞くことの方が多くなり、チェーン店のような感じになりがちです。
顧客の力が強くなってしまうのは、顧客自体がその店で得るものが少ないからだといえます。もし少しでも自分を変えてくれるような触発してくれるような体験ができれば、お客様の態度も変わって来るはずです。どこに言ってもある程度美味しいと思われる食べ物がある日本。300円出せばとりあえず食事がとれるような時代、遠くまで行くのがめんどくさく、まあ近場でいいやと諦めてもとりあえず最低限満足できるようなお店がある時代です。
私は飲食店とは人の魅力が全てだと思っています。魅力的な人がいなければ私はお店に行きません。美味しい料理を作れる人はそれだけで魅力的です。女性は綺麗なだけで魅力的ですが、性格が悪ければそれも半減。男性もしかり。
テクニカルなことが多くなっている時代、学校で勉強するだけでは本当に人間性や魅力は備わりません。資格を取ったところでそれはただの安心感。好きなことを突き詰めるほど私は人間の魅力が出て来るのではないかと思っています。仕事だから頑張らなくっちゃはもう昔の話。高度成長期に生まれた仕事だから何事も許されるような時代は終わったのです。私達の時代は好きなことは仕事にしないという人が多かったように感じます。そんな世の中甘くないよ!ってな感じです。ですから嫌なことでもやっているうちにできるようになることで好きになってきた。これこそが学ぶことの大切さだと思います。
つまりただ勉強して頭でっかちになったところでクイズ番組で回答率が高くなるだけ。学問とは学んでそれを噛み砕き実際の生き方の中で生かしてこそ価値があるのです。料理人がすごいところはそこにある。料理人だけではなく一流の職人とはそこに魅力があるのです。
【好きこそ物の上手なれ】今の時代はこの言葉こそぴったりだと思います。職業に貴賎なしです。
稼げる年収は変わっては来るでしょうが、高学歴ほどもてはやされる時代はある意味終わりを告げているように感じます。今オタクが市民権を得つつあるのも彼らの魅力がゆえでしょう。気持ち悪いと言われ続けながらも好きなことを貫いてきた姿は美しくも感じます。人間好きなっことをやっていればそれが仕事になりお金がついてこなくても好きなことをできる満足感で生きていけます。嫌いなことをやって金だけ儲かっても所詮ろくなことに金を使わない結果に陥るのです。
飲食店の魅力、それは人なのです。人こそが全てを作り上げることを忘れてはいけません。どんなに変人と言われようが、気持ち悪いと言われようが、突き詰めれば必ずそれが魅力となっていきます。万人受けはしないでしょうが、必ずあなたを支持してくれる人がいるはずです。
昨日書いた【料理人に言いたいこと】でもそうですが、飲食店において今ワインはないがしろにされているとしか思えません。ワインは長い年数をかけて生産者が作り上げてきたもの。その本質は市場に出ると変質した形でしか伝えられていないのです。変質しても美味しいとい思ってしまうところが逆にすごいとも言えますが、イギリス人たちがワインを商売にし世界中に広め結果ビジネス中心のワイン市場になってしまっています。ワインは本来の味ではなくそれ以外の要因で売れていることが多い。有名評論家が高得点をつける、特級だから、話題の生産者だから、大手のインポーターが輸入しているから間違いがないだろう、ワイン雑誌で美味しいと言っていたから、有名なブランドが作っているから。
料理も同じですね。星がいくつついているから。
でもそんなことに惑わされていては美味しいワインにも料理にも辿り着けないのです。
飲食店の魅力の一つとしてもっと料理人がワインをわかることが必要だと思います。そして先ずはちゃんとしたワインを仕入れること。そしてちゃんと管理すること。それは食材の管理と同じようにちゃんと。そうすれば料理の世界がもっと華やかになり、魅力が倍増されるはずです。
今ワインの生産者たちも世代交代が起こっておりどんどん若手の人たちが排出されています。日本でもそうですね。人生80年として常にその年数を人間は一から始めます。ですから私たちのできることは、その人たちの道筋をつけること。すごいスピードで世の中が変化しつつある中、正しい道筋を伝えることこそ大事だと思っています。ワインに世界におてPUR SANGが皆様の一つのヒントとなるような存在であればいいと思っています。
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