ワインの価格を分析する
ワインを購入する際にネットで価格を調べたりする人が多くなりました。飲食店でさえメニューを見てネットでいくらで買えるのかを見て高い安いと言っている人が多い。このような状況がお店にワインを持ち込む現象を作り出した一因ともなっていると考えられます。
ではワインの価格とはどのように決まるものなのでしょう。
日本の輸入業者がワインを購入する際、購入先は沢山あります。生産者から直接購入する場合、クルティエを通して購入する、ワイン商から購入する、現地のレストランや個人のコレクターからなど様々なのです。
生産者から直接購入する場合は、人気の生産者などは長い間通いつめ枠が空いたら購入できる場合や、日本のインポーターが取り扱いをやめ新たな購入先を探している場合、誰にでも売ってしまう生産者もいます。基本的には付き合いが長くある程度の量を買ってくれるインポーターほど仕入れ値が安いと思ったほうがいいでしょう。
クルティエから購入する場合はクルティエの手数料がそこにのることが多いようです。
ワイン商は世界中にいて価格差がかなりあります。一般的に少量で買う場合はワイン商から購入することが多いようです。
レストランや個人のコレクターから購入した場合成分分析表などの問題で輸入は難しいのですが、多分何か裏技があるのでしょう。
ワインはこのように購入先、付き合いによってかなり購入金額が変わってきます。
あとはインポーターがどれだけ輸入コストをかけるかの問題になってきます。生産者の蔵から完璧な状態でワインを運ぶには1本あたり400円近くのコストがかかると言われています。結構大きな金額なのでこれをいかに減らすかを考えるわけです。実際にフランスの場合など見ても蔵から船までの間定温トラックを使っている業者はごくわずかしかありません。インポーターがホームページなどで表示してある輸入方法も実は偽りであることが多いのが現実です。未だに船便も常温で輸入しているインポーターもいます。以前は国内の倉庫で夏場は冷やし冬場は常温などということもありましたが、最近ではそういったことはほとんどなくなってきています。ただ関西系の倉庫の多くは18度管理、東京近辺の倉庫は14度管理が多くここにも倉庫料の違いが見られます。この温度差だけで保管料が倍違うと言われています。
仕入れ値が400円を下回るワインを400円のコストをかけ輸入しているインポーターはごくわずかしかありません。本来早熟ですぐ開くはずのワインであるリーズナブル系のワインがあまり美味しいと感じないことが多いのはここに原因があります。
インポーターの上代設定の問題もあります。上代を高めにつけて割引を大きくする業者が多く割引率に敏感な飲食店などはこれに騙されることも多いのです。良心的でちゃんと輸入をしているインポーターほど上代設定が低いことが多いのです。ですからそういったインポーターは滅多に値引きはしません。値引き率が大きいほど疑ったほうがいいという現象があります。
コンディション面で見てみると、蔵出しで買うのが一番事故がないと思ったほうが良いでしょう。ただ蔵出しでもインポーターの輸送に対する姿勢が悪い場合コンディションが悪いことも多いことを覚えておいてください。蔵出しという言葉に騙されてはいけません。
ワイン商はその多くが輸送にお金をかけないために蔵出しより状態が悪くなっていることが多いのです。ですからワイン商でちゃんとしているところはごくわずかだと思ってください。
個人のコレクターやレストランからのワインも温暖化の現在では同じような傾向があります。
つまり蔵から一度出てしまっているワインはリスクが大きいということです。
ワインショップでも未だにお客様にクール冷蔵便を使うかどうかを選ばせているところが多いのですが、ラシーヌのワインでさえ常温で運ばれたら今までの苦労が水の泡なのです。
このようにワインの価格は複雑です。ですから価格だけでワインを買うとろくなことにならないのです。価格だけをみるのではなくインポーターやワインショップを信頼する以外なさそうです。
私が仕入れをする際にインポーターを選ぶのもそう言った理由があります。信頼度の高さ、これが一番大切なことなのです。
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