料理とワインをどのように合わせるか?

料理とワインのマリアージュ。まさに良く語られる言葉ですね。


例えばエポワースというチーズ。昔とあるレストランでミッシェル・ゴヌーのポマール・リュジャン1983年とともに楽しみましたが、口の中で合わせた途端、まるで違う世界になったようなまさにマリアージュの神髄を見たような気がしました。そしてその後こんな経験をしたことはありません。


たまにレストランに行ってソムリエの言うとおりにグラスでワインを料理に合わせていますが、残念ながらみたいな結果が多い。


何故そうなるのか。


まずは料理の変化です。今はフレンチも古典的な料理が減り健康志向の新しいフレンチが登場しており、皆挑戦的に新しい料理に挑んでいます。そしてワインももうどこで作っているのかわからないような地域性を失った国際市場に合わせたようなワインが多く、こうなってくるとワインと料理のマリアージュも新時代に入ってきています。


もともとマリアージュは地域の料理に地域のワインというのが基本ですし、現地の人は水が普通に入らない時代に必然的にワインと料理を合わせていたわけですし、日本にて飲むような美味しいワインを合わせていたわけではありません。

ですから、現在日本に輸入されているような選び抜かれたワインはどちらかと言えばワイン単体で飲んで美味しいワインがかなり多いのです。


まだまだ世の中にはコンディションの良いワインが出回っておらず、当然それを飲む機会が少ないこともありどのようにしたら良いのかわからない方も多いと思います。


料理が健康志向になってきた現在、そのような料理には自然派のワインの方があるかと言えば実はそうでもないのです。世の中に出回っている自然派ワインはコンディション面でも問題ですし、酸化臭が強いワインが多くとてもではありませんがワインと合わせるのは難しいワインも多い。古典派ワインはワインの主張が強すぎて現代の料理には合わせにくい部分もあります。


例えば先日南アフリカのソーン・ドーターズのセミヨンを飲みながら、ちょっと醤油とみりんで和えた刺身や牡蠣のオイル漬けなどと一緒に飲みましたが抜群に良かったのです。ちょっと意外だったのですが、セミヨンといっても比較的ドライなのですが、それでも果実の甘みがあり、こういった果実の甘みがうまくのっているワインは和食系に合いやすいということがあります。

もう料理も美味しいしワインも美味しいしといった感じです。

ワイン業界にいますから、正直ワインを飲むときにはマリアージュなんて真剣には考えていませんなんて口が裂けても言ってはいけないのでしょうが、いろいろな方とワインを飲んでもどちらかと言えばワイン主体で料理と合わせるのは二の次という状況がほとんど。正直こんな方が多いと思います。


コンディションの良いワインの良さはまず酸が壊れていない。果実味も健全。ある意味料理との相性はかなり広いのです。コンディションが悪くなっただけで料理と合わなくなることが多いのです。料理にかぼすを搾ったりするのと同じでワインに健全な酸があるために料理と合わせやすくなるのです。


ですからまずマリアージュを考えるときは、これじゃ合わないだろうという考えから始めた方が良いと思います。特に地域性が希薄になってきている料理やワインの世界では昔のような法則が当てはまりません。消去方で合わせていくのが良いのではないでしょうか。

牛肉でもシンプルに焼いたものと、ソースを付けたものでは合わせ方も変わってきますが、これを現実的にレストランで各料理と合わせるなんて無理です。コース料理だけでコースにすべてのワインを合わせるようにロスなく出せるのならば、優秀なソムリエならできるでしょうが、だいたいがワイン本来の良さを殺してしまっていることが多いのが現実です。

これじゃ正直言ってワインとのマリアージュと言うより料理のためにワイン本来の良さを無視しているような状況です。


ワインと料理のマリアージュは男女の出会いだと思って考えてみてください。喧嘩ばかりしているカップル、相思相愛のカップル、相手の魅力に惑わされている男性、まあカップルにはいろいろなパターンがありますが、そんな状況がテーブルで繰り広げられているというで捕らえて楽しんでみたらいかがでしょう。


あまり理論的に捕らえようと思ってもうまくいかないのがマリアージュの世界です。神経質に考えずに楽しむのが一番の方法だと思います。


もしこれをちゃんとできるとしたら、ワインのことをよくわかっている料理人だけでしょうね。どこにいるのか知りませんが、、。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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