ヴィンテージの見方を改めて検討する

私が30年前ワインを購入する際は当然ヴィンテージを気にしていました。

当時のワインは現在のように完全に近い状態で輸入されているワインはほとんどなく、システム的にも現在のような冷蔵システムは非常に少なかったためです。

30年以上前は、ワインに対する知識や技術も現在とは違い、それぞれの生産者がそれぞれの家の伝統的な作り方を踏襲していたために、ヴィンテージによるワインの出來の違いは明らかでした。ワインの状態という意味合いもあり、弱いヴィンテージのワインは早熟で熟成も早くポテンシャルも低いことが多くヴィンテージ評価の価値は非常に高かったのです。


では現在はどうでしょう。

最近は気候的には良かったヴィンテージとあまり良くないヴィンテージがはっきりとしていますが、実際作り出されるワインはその年の特徴を見事に表現したような品質的には非常に高いものが作り出されています。これはいろいろな知識が行き渡り、どんな年でもかなりレベルの高いワインが生まれるようになったためです。その分難しい年は生産量がかなり少なくなります。葡萄の選別を厳しくしどんな年でも優れたワインを作るという考え方が行き渡ったからです。


ですから現在では昔のような単純なヴィンテージの見方は出来ません。


まずはその年のワインの特徴を把握することが大事です。


実は昔からグレーとヴィンテージと言われていても、飲み頃が難しかったり、いつまで待っても開かないような年もありました。ですからグレート・ヴィンテージと言われているから必ずしも美味しいとは限らないわけです。


美味しい美味しくないという基準で考えれば、逆に早熟なヴィンテージの方が美味しい時期が早くやってくるために美味しく感じやすいという事実があります。


グレートヴィンテージには早熟でありかつ長熟が出来る年。若いうちは開かずに時間をかけないと開かない年などいろいろな特徴があり、長熟が故に飲み頃が難しく本当に美味しく飲める可能性が非常に低いという事実もあります。


ではグレートヴィンテージのワインの特徴はといえば、持っているポテンシャルが非常に高いと言うことが挙げられます。要するに中身の濃いワインといえます。明らかにわかるような優れた要素を沢山持っているのです。しかしこれが美味しいという部分までつながらなければ美味しく楽しむことは出来ないのが現実です。要するに忍耐が必要なのです。


オフヴィンテージと言われるワインは持っている要素はグレートヴィンテージより少ないことは事実です。ですからワインとしての状態が良くなければ、本来のポテンシャルを発揮する前に実質的に駄目になってしまいます。世でオフ・ヴィンテージのワインが大きく勘違いされがちなのは、ワインの状態の問題が大きいのです。


例えばボルドーの2007年。状態が悪いと本当につまらないワインと感じてしまいますが、実は状態が良いとかなり良いワインが多いのです。


コレクションという意味ではグレートヴィンテージの方が良いのでしょうが、もしあなたが美味しいワインを飲みたいのならば、状態の良い早熟な年のワインを買うことをお薦めします。そして寝かせる余力のある方は是非グレート・ヴィンテージのワインを買ってみてください。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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