ワインホリック

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美味しいワインを手に入れるための真実

今回南アフリカを訪れ改めて美味しいワインを手に入れる難しさを思い知らされました。3年に一度のCAPE WINE 2018。南アフリカの多くの生産者達がバイヤーとの交渉に挑む場所ですが、ここで用意されていたワインは本当に素晴らしいものでした。夜の時間はいろいろなレストランやワインバーに行きましたが、状態の良いワインもあればがっかりするようなワインだったりと様々。現地だから美味しくて当たり前となんて勘違いしたらいけません。これはフランスでも同じことでちゃんとしたワインを出すお店は非常に少ないのです。ワインの管理に対する意識はまだまだ低く現地で生産者の元でワインを飲んでいながらこの有様なのです。私がいつも一緒にワインを飲んでいる方々に以前質問をしたことがあります。そうすると味の記憶力をもっている人は半分ほどでした。つまり以前飲んだワインの味わいを明確に憶えている人はそうはいないのです。つまり意図的に分かっていて状態が悪くても気にしない人ばかりではなく、分からない人もいると言うことです。味わいの記憶力が優れている人にとってはこの現実は非常に残酷なことですが、これが生産国と他の国で飲まれるときの差が明確に出てしまう一つの要因になっています。ワインのインポーターは特に上場企業の場合、できる限り利益を出すためにコストを削っていくわけですが、そのためには出来るだけ多くの量を買ったり、輸入コストや国内での配送コスト、倉庫のコストを減らすことしかコストカットの方法はないのです。ヨーロッパでもEUの他の国に陸送する場合、ほとんど定温トラックは使われていないのが現実です。ですから感覚の優れた人たちは、自分たちの車で直接ワインを買いに行っています。ワインの世界を牛耳っているイギリスも、作り手の元で試飲し批評しているとは思えず、運ばれたワインを集めて試飲をしていると思われます。こうなってくると熱劣化で酸が壊れたワインを試飲するわけで本来の素晴らしさが感じられないワインは除外されてしまいます。以前とある雑誌の特集でワインを試飲したことがありますが、ただテーブルの上にワインを置き温度も高くぼやっとしたワインを試飲していました。これでは正直ワインの本質など分かりません。つまりこれがプロとされる人たちがやっていることなのです。未だに古典的スタイルのワインが好評価を得るのはこういったところに原因があります。ワインの状態にも色々ありますが、ラシーヌなどを中心とした優れたインポーターのワインとまあまあいいかなと思われるワインのホリックの基準から漏れたワインの違いは酸の喪失。リリースした手のワインが妙に開いた感じで飲みやすくなっていて勘違いしてしまうような魅力的な香りがし、味わいは要素が表に出ていて一瞬美味しく感じるのですが、妙に飲みやすくでもフレッシュ感がなくものによってはべたっとしたような甘さを感じてしまいます。大人数で飲むのでしたらせいぜい1〜2杯なのでまあなんとなく良いかなと思ってしまいますが、一本飲むのは面白みに欠けます。ましてこういったワインを熟成させても本来の美味しさなど絶対に出てこないのです。酸が壊れるとボディーのシルキーさ、滑らかな粒子の感じが無くなってしまいます。飲んでいて飽きが来るのはフレッシュさが足りないせい。張りのある感覚がないワインは熱劣化していると思って間違いありません。南アフリカのワインバーで飲んだワインは、味わいが壊れていて更に劣化していましたが。さて日本ではワインを学んでいる人がかなりいらっしゃいます。ワインのことを知ることは非常に大切ことなのですが、知識ばかり得ても美味しいワインを手に入れられることにはつながりません。評論家の本を参考にしても優れたポイントを獲得している生産者のワインは手に入れられますが、高価ですし状態が良いワインはほとんどないというのが現実。まさにエチケットを飲んでいるような行為です。私がインポーターを選ぶときはそのインポーターが輸入しているできるだけ安いワインを依頼します。一番安いワインはすぐ開くワインが多く酸がやられているとすぐ分かるのです。このクラスのワインを適当に輸入しているインポーターのワインは高額なワインも同じなのです。正直ラシーヌ、フィネス、ラフィネなどの優れたインポーターのワインでもあれっと思うときがあります。それだけワインの輸入は難しいのです。輸入だけでなくワインが劣化する要因はコルクなどにもあり判定するのはかなり難しいのですが、それでも今の輸送技術はかなり良好な状態で輸入する条件が整っています。多くのワインラバーの方々は状態の良くないワインを飲んでいるのです。その中から美味しい美味しくないの基準が作られていきます。私が最も信じていないのが知識偏重型のソムリエと多くを語るソムリエです。味わいが分かっていない人ほど口数が多いのです。味わいが分からないから、美味しいと思っていないから知識でカバーしようとするわけです。一番大切なことは自分を信じること。皆さん料理を食べたときに美味しい美味しくないは当然ご自分で判断すると思います。感動する料理もあればまあこんなものかなと思うときもある。でもワインに関しては分からないと思ってしまう。これではいつまでたっても美味しいワインを手に入れることは出来ません。ワインに対してもっとシビアになってください。美味しくないものは美味しくないのです。そしてその原因を探ってみる。自分なりに原因を追及していけばきっと確立が良くなっていきます。分からないことがあればいつでもお問合せください。

ワインを良好な状態で保管する必殺技

もう閉店してしまいました、私が経営していたヴァン・ヴィーノ・ブリュレ。自分で言うのも何ですが、最高の状態のワインばかりでした。あのような経験があったためにワインの保管に関する経験が深まりました。以前から言っていますが、ワインにとって重要なのは、ちゃんとした管理で輸入されたワインを購入すること。一度変質したワインは二度と健全な状態には戻らないのです。だからこそインポーターの厳選が必要なのです。プロと呼ばれるワイン関係者でワインの状態に関してしっかりとした知識を持つ人はほとんどいないのが現実です。プロと言われる人はワインの知識を持っているだけの人が多いという事実を知ってください。しかしこれは長年、健全なワインを飲む機会が持てなかった故です。さてインポーターを厳選したら、今度はワインを買う酒屋さんです。酒屋さんはフランスでもそうですが、売るために見た目重視。管理の良い酒屋さんはほとんどないのが現実です。別に私だってワインホリックだけなんて書きたくないですが、店内に裸でワインを置いていること自体私にとってはあり得ないことです。さてでは自宅でのワインの保管方法です。セラーでは私の知っている限りではフォルスターのデュアルが良いと思います。ただ中国で生産しているために個体差があり、良いものは抜群なのですが、不良品もあります。ですから初期の段階で問題があったらすぐに交換してもらうことです。どうも基盤に問題があるようです。ワインセラーはどうぞ安いところで買ってください。もし今あるセラーでなんとかしたいのでしたら、まずは振動対策として振動吸収剤を引いた上にワインを置きます。これはネットで売っています。そして空気の循環など考えずにワインを出来るだけ詰め込んでください。実はこれが温度変化を少なくするこつです。空間を少なくスるのです。そしてセラー内の温度変化に対する対策として、アルミの保冷袋にいれてワインを保管することです。これで一日の温度変化はほぼなくなります。この対策でワインの味わいは劇的に改善されるはずです。

エマニュエル・ルジェの最新情報

昨日銀座SAGAYAで行われたエマニュエル・ルジェの次男であるギョーム氏との食事会。料理も素晴らしく美味しく新しい情報が得られました。ちなみに手前の男性はSAGAYAのシェフ。真ん中がギョーム氏、右側はヴァン・ヴィーノ・ブリュレにいた山本。左側はスタッフ。さて今までえられていた情報にかなり間違った部分がありますので修正させていただきます。 まずエマニュエル・ルジェ / オート・コート・ド・ボーヌ・ブランはシャルドネではなく樹齢50年のピノ・ブランで作られています。 ジョルジュ・ジャイエのエシェゾーは今まで遺族の意向で新樽は一切使われていないとされてきましたが、70%の新樽使用率だそうです。現在ルジェのエシェゾーはジョルジュ・ジャイエ、ルシアン・ジャイエともともとルジェが受け継いだ区画との3つの畑のワインで作られているそうです。ルジェのエシェゾーがアンリ・ジャイエの時代より遙かに良くなったのにはジョルジュ・ジャイエ、ルシアン・ジャイエの区画が加わったことが原因です。ルシアン・ジャイエのエシェゾーは昔飲んでいますが、かなり素晴らしかったですし、ジョルジュ・ジャイエの畑もかなり良かった記憶があります。多分すべてアンリ・ジャイエが作っていたのだと思いますが、現在のルジェのエシェゾーはかなり恵まれた区画だと言えます。 最近はクレマンの製造も始めています。ブラン・ド・ブランで素晴らしい出来映え。ボーヌのクレマン製造会社に委託しています。 ニコラ・ルジェのワインに関してはエマニュエル、ニコラ、ギョームの3人体制で作られておりニコラの主張が最も強くでていますが、ニコラだけが作っているわけではありません。リリース直後は非常にドライで酸が強いのですが、2〜3年で驚くほど変化し魅力溢れるワインになります。またギョーム氏も彼の名前で2年間だけワインがリリースされていたようです。数が少なく現在は蔵にも在庫はないそうです。彼はボーヌの醸造学校で学んだそうです。 現在は3人体制で運営していく準備中で将来的には全てのワインはエマニュエル・ルジェの名前で統一されるそうです。最近は畑を増やしており、買い付けた畑、貸借した畑などがあり今後リリースされるワインは増える予定。ニコラ・ルジェの名前を冠したワインは今後貴重な存在になるかも。 ニコラは畑の管理、ギョームは醸造と営業という体制でエマニュエル・ルジェの引退はまだ未定。

シャンパン以外のスパークリングワインが今熱い!

シャンパンと言えば、昔は熟成させることでとても通常のシャンパンとは思えないような複雑な表情が出るのでやはりシャンパンでなければと言う感覚だった。そこはブルゴーニュのワインと同じ感覚。しかし時代の変遷と共にシャンパンもブルゴーニュと同じように変わってきている。脚色系のシャンパンが減り、自然派を中心とした世界に変わりつつあるのである。元々シャンパンは御祝いの時などに開ける派手やかな飲みものとしての需要が高くとりあえずシャンパン!的なワインバーでは通例だったのだ。ところが見栄を張らなくなった昨今、最初にシャンパンで乾杯する人は激減。シャンパンも大きく変わり昔のような感動的なシャンパンはかなり減ってきている。そうなってくると注目されるのはシャンパンではないスパークリングワインだ。昔はシャンパンでなくては美味しくないと思っていたが、その大きな要因はまずワインのコンディションの問題だ。これさえ解消されれば、実はスパークリングワインでもかなり美味しいものがい多いのだ。まだまだコスパの高さという意味での存在感とも言えるのだが、徐々に独特の旨味を発揮するスパークリングワインが増えてきている。ワインホリックでも売れ筋はスパークリングワイン。シャンパンでは比較的リーズナブル系の旨みののった安いものが主流だ。しかしそれに反するように高額なシャンパンが増えているという現実もある。自然派のコストが価格に反映されているという見方も出来るが、新しいシャンパンの世界の確立が進んでいるとも言えるのだ。もともと地理的にも非常に恵まれた土地だけに潜在能力が高くやはりレベルが違うともいえる。しかし昨今のワインの需要の伸びはリーズナブル系のワインが生活の中に溶き込み始めていると言うこともある。私が感じているのはここ数年で更にスパークリングの質が上がってきていると言うこと。これは自然派系のワインの進化が凄まじいと言うことだ。スパークリング以外でも自然派のワインの進化は目を見張るものがある。昔と違って国をまたいで交流が進むことで情報のやりとりが頻繁に行われ進化の速度が増しているのだ。フェイスブックやツイッターなどに多くの生産者が参加しているのを見てもわかるように今では生産者間だけではなく一般のワイン愛好家も生産者と気軽に交流が図れるようになっている。携帯電話がコミュニケーションの世界を激変させ、今ソーシャルメディアがワインの世界も大きく変えているのだ。画一化も進んでいるのだが、新たな個性も生まれている。まさに2000年代は新たなワインのスタートの時期とも言える。この緊張感がシャンパンやスパークリングワインの世界にも感じられるようになってきた。大御所と言われた生産者達がこぞって自然派の世界に参入してきているのを見ても明らかだ。シャンパンやスパークリングの世界は有名であるか如何で価格が違うものが多いのだが、意外と有名なほどにその価値がないものも多い。そういった意味でもやはり実際に飲むことで選ぶことが肝要なのだ。ワインホリックのスパークリングワインはあくまでも飲んだ印象のみで選んであるのだが、スパークリングワインも他のワインと同じで実は時間が経ってみると大きく印象の変わるものも多い。だから一度の試飲で決めてしまうことはない。何度も試飲することで仕入れをやめるスパークリングもある。とにかく一番大事なのはスパークリングワインのコンディションである。そして落ち着かせること。特に泡系は落ち着かせることで味わいに大きな違いが出てくるのだ。輸入されたばかりの泡と半年おいた泡とでは別物のような違いが出てくる。状態が悪く酸が壊れてしまっては、本質が全く見えないの。表面的な旨味ばかり見ていると最新のスパークリングワインの本質的な旨味が見えてこないのだ。シャンパンばかり飲んでいる人たちは、味わいの印象の違いや果実の濃さなどの理由でやっぱり安物は駄目だと思ってしまう人もいるとは思うが、何度も飲めばその美味しさの理由を体でわかってくるはずだ。CONTENTSに戻る

ワインにとって酸が一番重要なのです

私たちがワインを楽しみ始めた30年ほど前は長熟なワインが多く、わざとワインを酸化させて旨味を引き出すような手法が一般的でした。その当時はワインの輸送も今のように確立されていないために現在のような作り手の蔵と同じような状態のワインを手に入れることは非常に難しかったのです。それでも現在のような温暖化の影響は少なかったために慎重に輸入すれば同じような輸入の仕方でも現在よりも状態の良いワインは多かったのです。酸のことに関してはレモンが一番わかりやすいのですが、もしレモンを冷蔵庫ではなく常温で1週間放置するとフレッシュな酸が失われることは誰でもご存じでしょう。料理にレモンやかぼすをかけるとフレッシュな酸が料理の輪郭を明確にしてくれます。ビネガーに関してもレストランなどでは常温で放置し酸を壊し柔らかくして扱っているところもありますが、これでは本来のビネガーの良さを引き出していません。酸は甘みと合わせバランスをとることで非常に意味をもってくるのです。酸が苦手な方もいらっしゃいますが、それはある意味バランスが悪いときの酸が苦手だと思った方が良さそうです。火を通して使う酸の場合はまた意味合いが違ってきますが、火を通さない場合は全体的な酸と甘みのバランスを考えれば非常に美味しく出来ます。ワインの場合も同じで、ワインの酸が壊れてしまうと一気にワインの輪郭がぼやけてきます。ワインの酸によって魅力的に感じられた果実味も酸が壊れると同時に疑似熟成し急激に壊れます。通常あり得ないほど熟成の進んだようなワインは酸と同時に果実味も壊れていると思って良いのです。そういった状態を魅力的に思ってしまう場合もあります。特にフルボディーのワインにそういった傾向があります。私たちも以前はそのようなワインに大いに興味がありましたが、現在のように繊細に作られたワインは以前のような魅力は出てきません。現状のようにコンディションの良いワインが手に入るようになると、本来のワインの魅力を確認出来るようになります。そうなってくるといかに状態の悪いワインがぼやけているのか、多くの魅力を失ってしまっているのかがよくわかります。現状の状態の良いワインも実は扱い方が難しくなかなか本来の姿を見ることは新調に扱わなければ難しいのですが、それでもかなり高い確率で美味しく飲むことは出来ます。ワインホリックのワインを飲んでまず何が違うのか、それは他のワインにはないフレッシュ感があるのです。このフレッシュ感こそが酸が壊れていない証拠なのです。レストランに行くと私たちの感覚よりも高い温度でワインを提供している場合があります。コンディションの良いワインを高い温度で提供してしまうと輪郭がぼやけてしまいます。状態の悪いワインは温度が低いと要素がでにくいために温度が高めの方が良いのです。これはレモンと同じで料理にかけるなら常温のレモンより温度の低いレモンの方が酸が明確で美味しく感じるのと同じことです。状態の良いワインはちょっと低めの温度の方が酸が生き生きと感じられ輪郭が明確になるのです。低すぎると要素が全てわからなくなるので白や泡は8度〜9度、赤は14度から15度を基本で考えてください。ワインによって温度を若干変えることも必要です。酸は一度壊れると二度と元には戻りません。酸が壊れる要因は高い温度と温度変化です。1日2度以上の温度変化に1週間放置されるとワインの酸は徐々に壊れてきます。皆さんよく勘違いされていますが、ワインがなかなか開いてくれない、要素がなかなか現れないと思っている多くのワインはすでに酸が壊れているのです。状態の良いワインは古いスタイルのワインでない限り、とりあえず若くてもフレッシュ感があり果実味も健全。果実が若いなと感じるのは当然ですが、なかなか開かない不健全なワインとは全く姿が違うのです。料理の変化と主に今ワインも大きく姿を変えてきています。自然派系のワインも今では多くの生産者が取り入れ、一般的になりつつあります。そういった現状においては酸化防止剤の量も減り、ワインもより繊細になっています。こういった現状で以前と同じようなワインの輸入の仕方、同じような管理方法では方との美味しさを引き出すことは出来ないのです。かなかな変わらないワイン業界、テイスティングの仕方も実におおざっぱですし試飲会に行っても呆れることが多いのですが、プロがこのような状態ではいつまで経っても美味しいワインにたどり着くことは出来ません。プロはワインは安くないと売れない、有名でないと売れない、どうせ味なんか客はわかっていない、実はこんなことを思っている人が多いのです。呆れるばかりですが、昔からこれがワインビジネスだと真顔で語っているプロが多かったのです。今こういった常識が徐々に変わりつつあります。ラシーヌ、ラフィネ、フィネスを中心にワインビジネスという虚構に左右されることなく我が道を行くインポーターがここ10年静かにワイン業界を変えてきたのです。そして若手の飲食店を中心に徐々に状態の良いワインが浸透し始めていますし、最終的な飲み手であるワインファンも次第に変わり始めています。ワイン業界はなかなか変わらないのでワインを楽しんでいる皆さんの力が最終的にはワインの世界を変えていくことを是非知ってください。CONTENTSに戻る

古典的ワインと現代的ワインの違いを検証する

私たちが昔楽しんでいたようなスタイルのワイン、熟成すると官能的になりその姿に我を忘れるくらいはまりきった世界。今でも懐かしく感じます。今だから明かしますが、昔サヴァサヴァというバーでその当時では珍しい特別に作ったワインセラーを設置し極めて素晴らしい熟成したワインを沢山揃えていました。その当時はカウンターでワインを楽しむということはほとんどなく、ワインは食事と共にというイメージだったので当初はワインを出すことに苦労しました。しかし知り合いを中心に徐々にワインが出始め、カウンターでワインを飲んでいる人たちを見た初見のお客様達も徐々にワインを楽しむようになってきました。当然その頃はグラスワインはなくほとんどがボトルで飲む感じ。その当時私は輸入も手がけるとある酒屋さんだけからワインを買い付けていましたが、そこのワインは明らかにその当時日本で最も状態の良いワインの一つでした。特に熟成したワインの品質が素晴らしかったのです。銀座などにも有名な酒屋さんがありましたが、状態が酷くよくこんなワインを高い金を払って買うなとちょっと呆れていたのです。その当時は現在ラシーヌの合田さんがいらした八田商店、そして現在フィネスの社主である藤田さんがいた富士発酵、現在のヴィナリウス、当時はエノテカワインセレクション、ここだけが状態の良いワインを輸入していましたが、熟成したワインが数多く入手出来るので正直あまり関心がありませんでした。ボトルでワインを開けたお客様は、一口飲んだだけで確実にワインにはまり今まで見たことのないような世界にすっかりとはまりきってしまったのです。当然その当時とはいえ、普通のお酒を飲むより価格が高いので会計時は明らかに顔が青ざめていく姿は「あ〜もう二度と来ていただけないな、、」という感じでした。ところがその方はなんと確実に次の日もいらしてくださったのです。その当時はワインだけではなくモルト・ウイスキーを中心にはまってしまう酒がよりどりみどりといった感じでまるで麻薬の巣窟のような世界。そんな世界が3年も続いたあとにヴァン・ヴィーノ・ブリュレを開店。最初はほとんどワインだけで一体大丈夫なのだろうかと思っていたのですが、数ヶ月もすると大盛況。そんな時代を経験してきただけに、現代のワインに徐々に移っていく際はかなりの違和感がありました。ワインをやめようと思ったことすらあります。かといって昔のようなワインは2000年代に入り極端に状態が悪くなり、良いワインもほとんど飲み尽くされ残っているワインは私にとってはくずばかり。さてでは現在はどう感じているのか。蔵出しで比較的昔のイメージを持っているワインを飲んでもまず懐かしさしか感じることができません。くらくらするようなワインがほとんどないこともあります。昔極端に女を増幅するような香水プアゾンなどの香りで女性に引きつけられたようなワインはもうないのです。でももしそんなワインが出てきてもそんなにくらくらすることはないと思います。しかし今でも最も印象的なのはまだ農薬がそれほど使われていなかった1930年代から1940年代のワイン。ドクターバローレコレクションや、シュヴァル・ブラン、トロタノワ、これからのワインは当然造りは現代的な醸造法ではありませんが、これぞ古典の自然派といわんばかりの驚くべきワインでした。現代のワインはフレンチが古典から現代に変化したような劇的な変化を感じます。昔のフレンチは、バターと生クリームをたっぷりと使い、塩分も強くカロリーが高く量も喉まで食事が詰まっている感じでした。ところが現代のフレンチは健康的になり量も少なめ。健康志向がワインの世界も大きく変えたのです。自然派志向もそういった変化から生まれ、原点回帰と最新の醸造法によってワインの世界は大きく変わったのです。そういったワインは昔のワインとは大きく違い、官能的とか複雑な味わいの世界とは全く違う世界。質感追求の世界です。自然派のワインを率先してリードしてきたルロワはお金をかけまくり高価な自然派ワインを作り上げました。これ以上ないと思えるほど指針となるようなワインを作り上げましたが、残念ながらその真の姿を日本で感じることはなかなかできません。これがワインの輸入と管理の問題であることは明らかですが、そういった過程で改めて輸入管理と日本でのワインの管理の重要性が明らかになってきたのです。昔のように状態がちょっとだけ問題がある方が熟成感が出ていいなどと言うことはなくなり、ちょっとでも状態に問題があると美味しさが飛んでしまうのが現代のワインです。昔より繊細で旨味と呼べる要素が少ないのにもかかわらず、魅力がちょっとでも飛んでしまうととても美味しいとは言えない状態になってしまいます。それにもかかわらず、状態が悪いワインが氾濫しているのは、そういったワインしか知らない人が多いこともあります。私もそのことに気がつきそういったワインばかり飲んでいるうちにすっかりと味覚が変わり、今では昔のワインを飲んでもぴくりともしない、懐かしさしか感じなくなってきました。こういった感覚の変化に10数年を要したのが現実です。世の中の変化と主に大きく変わったワインの世界。しかしそれは食事も香水も全ての世界で同じような変化をしているのです。コンピューターやスマホによってコミュニケーションが大きく変わり、昔のように酒場でコミュニケーションをするという感覚も無くなってきました。現代のワインはまだまだ発展途上ですが、ここ数年、ただ綺麗なワインを作るという感覚から深みや明確な個性が感じられるワインが増えてきています。どうやったら更に素晴らしいワインを作ることが出来るのか、今までの常識を越えた解明されていないようなことがわかり始めています。それと同時に現代的な世界がいかに自然を害しているのかもわかってきました。自然派のワインを勘違いして劣化させて腐敗した状態の自然派ワインが美味しいと勘違いしている人たちもいます。そういった香りや味わいにはまってしまうのは飲み手の趣向なので別に良いのですが、自然派ワインをそのような勘違いして扱うのはまともな感覚を持っている人たちに悪い影響を与えることは否めません。私もここ数年南アフリカの素晴らしいし自然派ワインを知ったり、新たな経験をすることによりワインの世界を改めて見直しています。そういった意味でまた新たに面白いと思い始めたワインの世界。作り手達が今後どのような変化をし、新しい感覚を持った優れた生産者が出てくるのが楽しみでもあります。そして自然派ワインも熟成によって新たな世界を見せてくれることもわかってきました。変わり続ける現代のワイン、皆様と一緒に楽しんでいければと思っています。CONTENTSに戻る

現代のワインをどのように楽しむか

昔からワインに親しんでいる方は、現代のワインが昔に比べインパクトや奥行きがなくなってきていると感じているのではないでしょうか。時代の変化はワインだけではなく、香水、洋服、料理を見てもわかるように大きな変化をもたらしています。わかりやすく言えば、ワインは料理と平行するように変化してきているのです。それにもかかわらず日本人にとってワインは嗜好品。決して身近なものではないために一般の方は大きな要素をもつワインに執着します。それこそ世の中で有名なワインだったり大手の作った受けるワインだったりするわけです。現代のワインはある意味こぢんまりとしていて、ピュアー系のワインが多くなっています。自然派のワインがその代表のような存在ですが、大きな流れとして現代派のワインが主流になりつつるのです。これはワインを作る側の指向であってけっしてワインラバーの指向ではありません。つまり作り手と飲む側に大きな隔たりがあるのです。別の視点から見ればワインを扱う側飲む側は、作り手の変化について行けずに昔ながらのワインの扱い方をするために、作る側と飲む側との隔たりがどんどん大きくなっています。現代のワインに関しては扱い方、飲み方を変えなければ本来の姿を認識することが出来ないのです。正直言って今のワインの扱い方は雑そのものです。でもそれは日本だけのことではありません。フランス、イタリアでさえ、驚くほど扱いが雑です。作り手によってはもう国内向けの販売はしないと宣言している人すらいるほど。こういった状況はワイン雑誌など見ていては決して知ることは出来ません。ワインビジネスとはワインをいかに売るかということなのです。私でさえ残念ながら最近はワインを持って行って飲むことも多く半分目をつむって想像しながらワインを飲んでいる始末。そのくらいあまりにも神経質になると疲れてしまうから、という言い訳がましいことをしているのです。そろそろ本題に入っていきましょう。ちなみにここから話すことはワインのコンディションが良いことが前提です。現代のワインをどのように楽しめば良いのか。まずこれだけは憶えておいてください。ワインは最高の状態になるとボディーが絹のような感じになりそれが何層にも折り重なったような姿になります。そして葡萄本来の甘みを感じるようになります。こんなに甘かったっけ?と思うほどです。輪郭が明確になり一体感が出てきます。上品極まりないような姿になりハッとするほどです。このような姿を経験するとそれこそ、そこら辺でワインは飲めなくなります。むかしヴァン・ヴィーノ・ブリュレにいらしてくれたお客様は、よくヴァン・ヴィーノ・ブリュレでワインを飲むと他でワインを飲めなくなるといっていました。その当時のヴァン・ヴィーノ・ブリュレのワインを知っている方はその理想的な世界を知っているはずです。何度も言っていますが、ワインを暴れさせないことがワインを落ち着かせるために必要なことなのです。冷蔵庫の振動、ワインセラーの振動、そう振動が最大のワインの敵。振動対策こそがワインにとって最も重要なことなのです。電磁波も振動と同じ。例えば携帯電話をワインのそばに置いてワインを飲む。温度は遠くにおいてワインを飲んでみてください。明らかにワインが変わります。電磁波もある意味ワインに振動を与えると思ってください。ワインに関して最も重要なことは人の言うことなど信じないことです。ワインの世界は嘘ばかり。だからまずは自分で実感することが大事です。是非実践してみてください。温度も大切です。通常ワインを飲む際は室温といいますが、それはもう無視してください。赤は14〜15度コンディションの良いワインはこの温度帯で飲むことが大切です。通常より少し低めが良いのです。落ち着いた理想的なワインは心が洗われるようなハッとする存在感を示します。決して大きなインパクトや衝撃的な印象を与えることはありません。しかし心洗われるような世界は最も現代人が求めているのではないでしょうか。現代的なワインをいい加減な感じで飲んでもまあ美味しいね位しか言うことは出来ません。だからワインにインパクトを求める人は有名なワインや高額なワインを飲むのです。かといって高額なワインの文句を言っているわけではありません。高額なワインは金額に比例するような素晴らしい世界があります。しかし高額なワインほど売れているワインほどワインの状態が悪い。状態が悪くてもワインの名声と大きな要素だけで納得されているというのが現実なのです。少しずつでも良いのでめんどくさくない程度で環境の改善をしてみてください。ハッとすることがあるはずです。CONTENTSに戻る

ワインセラーの選び方

ワインセラーはワインを美味しく楽しむための生命線です。日本のような四季があり夏場の暑さが異常なほど高くなる地域では、自然な状態でワインを保管することはかなり無理があります。石切場のような温度の安定した洞窟でも近くにない限り一般の方はワインセラーを購入するしかないのが現実です。ワインセラーは常に進化しており新しい品番のセラーほど秀逸であることが多いのですが、セラーにかけるお金をけちってしまうとせっかくの良いワインも本来の持ち味を堪能することが出來ません。一般的にセラーはけちってワインにはお金をかけるという現象が多く見受けられますが、これは全く逆なのです。秀逸なセラーを購入すればリーズナブル系のワインでも素晴らしく美味しく感じることができる、これが正しい姿です。最近のワインセラーは温度帯が二つに分かれている物が多くなってきていますが、現実的に白泡、赤と分けて入れられるので非常に便利です。このように出してすぐ楽しむことが出来るのが現実的です。今までは2台セラーを購入しなければセラーから出してする楽しむことは出来なかったのです。ワインセラーは高価であれば秀逸で安ければ性能が悪いという一般的な流れはありますが、それだけでなく性能の高さを見極めなければなりません。大事なことは振動がないことと温度変化が一日2度未満であることです。営業マンや他人の意見に左右されることなく使っている人の意見を聞いたり、しっかりと調査して購入すべきです。カタログの数値も実はあまり当てになりません。開け閉めの多い飲食店などでは温度回復力も問題です。フォルスターのデュアルは2年ほど使っていましたが、素晴らしい性能でワインを落ち着けるほどに甘みが出てくるような理想的なセラーです。業務用にも適しています。さすがワインセラーの元祖といえる性能の高さです。ただ問題点は最近のワインセラーは中国などで作られていることが多いために初期不良や個体差があると言うこと。性能にばらつきがあるのです。ですからセラーを購入したら初期不良がないかを確認することも購入者側の責任です。これをちゃんとしないと高額な買い物で失敗することになります。クレームは早めにが鉄則です。http://www.wineholic.info/category/5535.htmlCONTENTSに戻る

業務用冷蔵庫にワインを保存してはならない

飲食店に行くと時々業務用冷蔵庫からワインを出しているところがあります。確かにスペースがなく手狭な飲食店にとって白ワインや泡系を保存したり提供するときに適温にするために冷蔵庫を使わざるえないことは容易に想像できます。最新のセラーでないと一つのセラーでは白か赤どちらかに設定温度を決めなければならないために、2つのセラーが必要です。さて業務用冷蔵庫の問題点は、開け閉めが多いために温度の回復力を強めるために振動が多いという特徴があります。これは動力が一体化されているために振動が伝わるためですが、振動だけではなく温度が低すぎることも問題です。ちゃんとしたインポーターのワインなのに、何故か酸が落ちてしまっていて輪郭がぼやけていると思うワインの多くは、冷蔵庫が原因になってしまっていることが多いのです。酒屋さんでの保管が悪い場合もありますが、この場合はセラーから出している場合にそう思うことが多くあります。振動はワインが落ち着くことが出来ずに酸が落ちてきてしまいます。わかりやすく飲みやすくはなっていますが、酸が落ちることで輪郭がぼやけ多くの魅力的な要素が失われています。特に夏場などは爽やかな酸が体を潤してくれますが、ぼけっとしたような輪郭がはっきりしないワインは冷やしたところで抜けたビールのような感覚しか与えてくれません。よく酸が苦手だという人がいますが、これはよっぽど酸が強すぎる場合か、酸が変質し豊かな果実味とのバランスが悪くなっている場合です。果実の質感は酸が支えているのです。とはいえ、昔と比べるとワインの状態にこだわる方は増えましたし、酷いワインを提供するお店も減ってきてはいます。(たまたま私が行っているお店のことですが)どんなに素晴らしいインポーターのワインでも、本来の姿を再現できない限り作り手の本質に理解することは出来ませんし、それ以上にお客様に感動を与えることは出来ません。ただソムリエの資格を持っていると言うことに甘えることなくプロとしての自覚を持って作り手本来の姿をお客様に提供することが大事なのです。CONTENTSに戻る

2017年産フランスワインの不作によってワイン業界に異変が起こる

2016年に続き2017年は更なる不作に見舞われたフランス。1本すら生産できない生産者もいるほどでこのことはフランスの生産者だけでなくインポーターにとっても大きな痛手になる。特にフランス中心のインポーターにとっては死活問題だ。特に大手のインポーターは仕入れたワインを安売りしてでも次の年までに売り切ってしまうことが多いために、そのことが打撃になるだろう。不良在庫が多く出回る危険もある。フィネスのようなインポーターは多分保管してあるバック・ヴィンテージのワインなどを放出し凌ぐと予想されるが、それは逆に嬉しいことともいえる。ラシーヌなどはリスクを減らすためにヨーロッパ全土に手を伸ばしており、フランスが不作でもリスク回避が出来るはずだ。ラフィネも南アフリカに主軸を置き始めている(ラフィネは否定するだろうが)ために、ある程度凌ぐことは出来るだろう。一番の問題は私たちが最も愛しているリーズナブル系のワインだ。大量消費するクラスのワインが不足することが十分に考えられる。現在オーデックス・ジャパンなどは、ヨーロッパでもメインの地域のワインを放棄し始めており、その他の地域のワインに集中しているために息を吹き返す可能性大!要するにこの事態は、今まで注目されていなかった地域のワインを開拓するきっかけとなるだろう。そしてそういった地域の生産者にとって大きなチャンスともいえる。それは結果としてフランス離れを更に進めることにつながる可能性がある。実際ここ10年ワインショップをやっていても10年前よりも遙かにフランス以外のワインが多くなっている。しかし、問題は新しい地域のワインを状態良く輸入するのは非常に困難で環境の整っていない地域が多く一部のインポーターを除いたらほとんどのインポーターが酷いワインを輸入し始めることが考えられる。南アフリカのワインを見てもわかるようにラフィネ以外はほぼ全滅状態。ヨーロッパですら主たる国以外の輸入は非常に困難を極める。今回のフランスでの出来事は世界的な異常気象に原因があるのだが、そのことが更にワインの輸入に問題を起こすはずだ。一部手を抜くだけでワインは致命的なダメージを受けてしまう。ちょっと話はずれるが、フランスでは数年後新車登録できる車はハイブリットどころか、電気自動車と水素自動車だけになるそうだ。このことは自動車メーカーの電気自動車、水素自動車開発に拍車をかけ、石油離れが進むことだろう。こういった劇的なことが起こらない限り世界的な異常気象が緩和される可能性は低い。ところがアメリカのシェールガス開発は、ガソリンをばらまいて走っているような車の販売を後押ししているために真逆の傾向も起こっている事実もある。ワイン税が安くなるとは言ってもたいした影響はないだろうし、世界的には良いワインを作れば売れるという考え方から徐々に価格が上がっている。日本が適度なインフレにならない限り日本人にとってのワインに対するイメージは更に高いものになっていくだろう。ワインホリックとしては今のうちに余裕があれば買えるワインは買っておくという方針。来年から徐々に起こってくるフランスワイン不足に備えなければならない。CONTENTSに戻る