酸化臭の香りや味わいがする自然派ワインに思うこと
最近は自然派ブームで数多くの自然派ワインを置くレストランやワインバーが盛況。
基本的にビオディナミなどで作られ酸化防止剤も極量抑えるか、全く使われていないワインが多い。
古い人間だと言われればそれで終わってしまうが、私は個人的に酸化臭の強いワインが好きでない。というのもまず鼻につく。酸化臭や酸化の味わいが強いとそれが前面にたち他の要素が消えてしまう。これでは全く面白くなく魅力に欠ける。ワインを飲んでいて納得感がないのだ。正直どこが良いのか分からない。
自然派ワインでも酸化臭などのないワインは実にピュアーでその中に素晴らしい質感と繊細さ、ちょっと日本酒的な主張抑えめの複雑さが同居する。こういったワインだったらかなり納得感がある。
さてラシーヌやラフィネの輸入するワインだったら状態面でほとんど問題がないためいいのだが、酸化防止剤を極端に減らしたり無添加のワインの場合、輸入時の管理の問題で大きく劣化しやすい。その上に酒屋などで店頭にそのまま並べられたりしたら劣化が著しい。こういったワインは私の口に入ることはあまりないのだが、たまに飲食店でそのことを実感したりする。
しかしラシーヌやラフィネなどのワインにも酸化臭や酸化の味わいが強いワインが存在する。これは輸入時の問題ではなく元々のワインがそういった感じなのだ。正直こういったワインにも私はがっかりすることがある。多少酸化臭があってもその中にもっと魅力的な部分が強いとそれなりに納得感があるのだが、正直そういったワインは少ない。もう酸化臭があること自体ワインとしての魅力の多くを失っていると感じざる得ない。
そこが私にとっての壁であり、自然派のワインに疑問を感じざる得ないところである。これは単にワインが嗜好品だから、私の口に単に合わないという問題だけではかたづけられない。何故こういった酸化のニュアンスが出てしまうワインが今世で認められているのだろう。私には自然派のワインはまだ発展途上にしか思えない。そのために優秀な作り手を見守っているというのなら分かる。
私が経験上考えるのは、葡萄の力自体が元々弱く、衛生環境や醸造にも問題があるのではないかと思われる。もともと葡萄は樹齢が高く健全である場合、葡萄自体が醸造中に酸化防止剤を自己防衛本能で作る。これを聞いたのはギー・ブルトンだが、彼のワインには全く酸化臭などは感じられずピュアーだ。最近はほんの僅か出荷時に酸化防止剤を添加しているようだが、これもある意味酸化臭を抑えるためのものであると感じる。
酸化防止剤が多すぎてぎょっとする作り手も未だにいるのだが、全体的には酸化防止剤は添加を極力抑える方向性が主流になりつつある。ただ輸送の問題で日本のみ酸化防止剤を少なくする場合もある。ヨーロッパなどでは陸送はほとんど常温なので問題が多い。
面白いことに自然派でも酸化臭のしないワインの人気がいまいちだったりすることも多い。私がこれは良い作り手だと思っていても売れなかったりする。酸化臭を私たちが昔感じた熱劣化による疑似熟成した姿と同じように感じているのだろうか。それだったら分からない気もしないが、あまりにもレベルが低すぎる。昔のワインの複雑さとは比べものにならない。要するに大きな魅力的要素の方が一般的に受けるのだろうか。自然派本来のピュアーさ、その中に宿る複雑さは、現在の日本ではそれを提供できる環境の整ったお店があまりにも少なすぎるという現状もある。
ワインをしっかりと落ち着け、温度変化のほとんどない環境で出してこそ初めてその素晴らしさが分かるワインが多というのも事実だ。フランスでさえワインの扱いは悪すぎる。その悪すぎる姿が正しいと思い日本で同じことをするスタイルだけをまねしたようなお店が多いことも事実。
私は常にこういった疑問を持ちながら自然派ワインを見ているが、皆さんどのように思っているのでしょうか。もしご意見があればお聞かせ下さい。
2コメント
2016.09.18 20:51
2016.09.04 09:49