ダヴィット・クロワを分析する


ダヴィット・クロワは若手醸造家の中でもっと光り輝いており、メゾン・カミーユ・ジルーにはその当時同じように注目されていたバンジャマン・ルルーの推薦により例外的な若さで新生メゾン・カミーユ・ジルーの醸造家になった。

倒産したメゾン・カミーユ・ジルーは彼の功績で今では見違えるようなワインに変身した。以前のような優しいイメージは同じなのだが、より焦点が定まり優しくありながらもテロワールの反映された素晴らしいワインが生まれている。それぞれの畑の特徴を的確に捉えた上で醸造する。強烈なインパクトを誇るわけではなく全ての要素がわかりやすくワインの中に存在し、飲み頃も早く熟成の可能性もそこそこあるワインが多い。もし欠点があるとしたらあまりにもわかりやすいところだ。優等生的な雰囲気に満ち溢れ官能的な要素が少ないとも言える。赤も素晴らしいのだが白がとにかく見事。赤白共に素晴らしいワインが作れる作り手はそう多くない。

先日南アフリカのアルヘイトが言っていたのだが、最新の研究では蔵の酵母の影響はほとんどなく葡萄に付いている酵母の影響が大きいとの結果が出ているそうだ。しかし私はそれに反論したい。南アフリカの新進の作り手たちは創設からそれほど時間がたっていないためにブルゴーニュとは比較にならないと言うことだ。ダヴィット・クロワという醸造家に変わったのにもかかわらずメゾン・カミーユ・ジルーのニュアンスがあまり変わらなかったのは明らかに蔵の酵母の影響が大きいと思っている。実際ドメーヌで作る彼のワインは新設されたドメーヌで作っているために全く姿が違う。確かにデューシェの畑を買い作り出しているから畑は違う。しかしメゾン・カミーユ・ジルーはもともとネゴシアンで買い葡萄な訳だから葡萄に付いている酵母よりも明らかに蔵付きの酵母の影響が大きいとみる。それが共通するイメージにつながっている。ルロワなどもオスピス・ド・ボーヌを競り落とし樽をそのままルロワのセラーで寝かせ出荷されたワインは見事にルロワの味なのだ。歴史あるブルゴーニュの蔵の個性は蔵付きの酵母の影響が大きいことは確かだ。

さてクロワの作るワインは前述したとおり、見事に焦点の合った素晴らしいワイン。ところがドメーヌものに関しては質感がよくカミーユ・ジルーよりもボディーに厚みがあるのだが、今ひとつ深みが足りないように感じる。確かに素晴らしいワインではあるのだが、私はもっと良くなるとみている。それは醸造だけではなく蔵として歴史が必要なのではないだろうか。こういった観点で見ていくと、まだまだクロワの力量は明らかではない。若手の中で最も注目できる点は明らかで他の若手を見ていても彼ほど才能を感じる作り手は多くない。来年メゾン・カミーユ・ジルーを退職するのだが、その後の彼の動向が気になる。


ダヴィット・クロワに関する詳しい情報

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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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