劣化しているワインの特徴

ワインが劣化する過程ではいろいろな症状が見られます。

たとえば軽い症状としては、輪郭がぼやけてしまうという症状があります。輪郭がぼやける一つの理由として酸が飛んでしまったように感じることがあります。実際酸がかなりなくなってしまっているのですが、この場合数日間常温で置いておいたレモンのようになります。つまりフレッシュ感がなくなるのです。ジュースなどでもぬるい状態のジュースはぼやけた感じがしますよね。でもちょっと冷やすと輪郭が明確になって美味しく感じる。まさにこのような感じがもっと進んだような状態になります。和食などでもかぼすを搾ると料理の輪郭が明確になったりしますが、それの逆パターンでぼけたように感じてしまうのです。特にリーズナブル系のワインは酸が飛ぶことで美味しさの半分以上が飛んでしまいます。この症状は温度変化が原因でワインは冷やしておけば良いという軽い考えでいるとこのような結果に陥ります。ワインショップでも店内にそのままワインを置いておくと、いくら店内を15度に冷やしておいても、エアコンは温度が下がると停止気味になり、上がると冷やそうとするので、どうしてもその間に温度変化が生じますし、人の出入りによっても温度変化が生じます。この結果ワインの輪郭が失われていくのです。一瞬飲みやすいようには感じますが、健全なワインと比べると明らかに旨みが飛んでいるのです。

ですからリーズナブル系のワインだからしょうがないのだと諦めないで下さい。本来はリーズナブル系のワインは購入ワインと比べ要素は少なくても熟成が早いので美味しさという意味ではそれほど変わらないのです。


エキスがぎゅっと詰まったようなプレミアムワイン。当然長熟系のものもありますし、昔のワインは初めからぎすぎすしているようなワインもあります。今回対象とするのは現代的なプレミアムワインです。プレミアムワインと言ってもいろいろあるのですが、ぎゅっとエキス分が詰まったようなワイン。通常は若くてもとりあえず飲むことは出来ます。「あ〜若いな、なんかエキスが凝縮した感じ」このように感じるのが普通です。エキスは柔らかく甘みもあり開いていませんが飲めてしまう感じです。ところが熱が入るとどうなるのでしょうか。まず甘みがあまりなく高質感が出てきます。凝縮したエキスを感じ凄いなと思うでしょうが、正直美味しいワインであるかは未知数に感じます。時間がたつと美味しいというレベルではありませんが、いろいろな要素を感じることが出来ます。


酸が強いブルゴーニュのようなワインはどうなるのでしょう。絶妙に熱が入ると凄く美味しく飲みやすく感じます。ところがそれは表面上のことであって実はかなりの要素がえぐり取られてしまっています。熱が入ることである程度の酸が失われ若くても疑似熟成したような感じになり一瞬美味しくは感じるのですが、実は持っている要素の半分以上を失っています。


現代的なブルゴーニュのピノ・ノワールの場合、健全なワインは絹が折り重なったような実に見事なボディーがあります。落ち着かせるほどに絹が層になった感じが出てきます。熱が入るとちょっとぼけっとしたような層のない柔らさで単調に感じるのです。焦点の合わない感じですね。


ワインが劣化する際の一番の特徴はフレッシュ感がなくなることです。フレッシュ感の一番の要素は酸。この酸がやられることで新鮮さを失うのです。そしてワインの場合、古酒でさえも同じなのです。輪郭を支える酸はワインの持つ要素を明確に表現するためには絶対に必要なものなのです。


熱劣化したワインは、酸以外にもいろいろな特徴があります。通常出てこないような香り、自然派ワインの場合は酵母が腐敗したような香り、熟成してこないとけっして出てこないような疑似熟成の独特の香り、皆さんこの様な香りが好きな人がいますがこの様何ワインの場合、大きな要素だけが残っていて細かい要素はなくなっているのです。ただ希にうまく疑似熟成されて美味しく感じるワインもあります。


昔のワインはそれこそすぐ美味しく飲めるようなワインは少なかったために今美味しく飲むためにはどうしたらよいのかということを皆考えていました。シェイクしたり、ちょっと温度の高いところに置いてみたり、何か加えてみたり、、でも今のワインにそんなことをしたら駄目なのです。早熟系のワインほどちょっとしたことで美味しくなくなるのです。


酸の強いブルゴーニュなどの場合、酸の質がフルーツ系からビネガー系に変わったように感じる場合もあります。これは高い温度で一種でも置かれたときによく起こります。


例外も沢山ありますが、皆さん当然ワインは美味しいと思って飲んでいますよね。そんな方に言いたいのはもっと美味しい世界があるんだと言うこと。自分の好みの問題ではなくワインは当たり外れが多いと思っている人。評論家のポイントが高いのにいまいちだと思ったワイン。特に男性は思い込みが激しいために評論家が高いポイントを出したワインと言うだけで無理矢理美味しいと感じてしまう。でも奥さんに飲ませると「不味い、、」と言われる。そんな経験はありませんか?

コンディションが良くないと言うことは当たり外れが多いのです。居酒屋で出されるような酎ハイと同じレベルでワインを考えると実にもったいない。ワインって特に日本に輸入されているワインは実はもっと美味しいのです。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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