飲食店で美味しいワインを提供する

懐かしい写真、初期のヴァン・ヴィーノ・ブリュレです。

この当時もそうですが、ヴァン・ヴィーノ・ブリュレではセラーはホールに設置。2種の温度帯でグラスワインもセラーから出した時点で適温のために最適の温度で提供することができました。昔なのでまだ分かっていなかったことは振動。残念ながらこの当時のセラーは動力が一体だったのでどうしても振動の影響があったのです。


さていろいろな飲食店に行ってワインを飲むといろいろな問題が見えてきます。飲んでそこのお店の問題を掘り下げるのも今はもう趣味のようになっています。


まずはちゃんとした状態のワインを購入することが大事。他の章を見てワインの状態の大切さを知って下さい。


ではまずはワインセラーの振動問題から。

ワインセラーは振動があるとどうしても常に揺らしている状態になります。そうすると本来持っている甘みが減りドライになる傾向があり、輪郭も崩れてきます。なんでラシーヌの試飲会で飲んだワインと姿が違うんだろう?その一つは振動の問題なのです。

古いセラーは能力的に問題のあるので酷い場合はセラーに入れておくほどに悪くなってしまいます。振動だけではなく温度変化の問題もあるからです。振動の問題は、新しいセラーに買い換えることで解決しますが、そんなに余裕がない場合はどうしたらよいのでしょう。通販などで振動対策用のマットが売っています。これを各段に合うように切り分けひいてみると良いでしょう。これでかなり状況が改善されるはずです。もし買い換える余裕があるのでしたら、フォルスターのデュアルが良いでしょう。私も1年以上使いましたが、ワインの状態は完璧に守られました。また上下で2つの温度帯で管理できるので手前のワインをグラスようにすればセラーから出してすぐに提供できます。そして電気的なセラーの場合出来るだけセラーの中をワインで一杯にして空間があまりないようにして下さい。これはすでに実証済でこちらの方が温度変化が少なくなるんです。


ワインセラーを置く場所で一番駄目なのがカウンターや厨房の中です。この場所は什器設備が沢山あり、どうしても温度が上がりやすいのでセラーに負担を与え能力が低下する可能性があるのです。過酷な状況にセラーを置くのは問題なのです。セラーは出来るだけホールに置くことが仕事の上でも便利なので今後お店を造る方は憶えておいて下さい。


お店に部屋のようなワインセラーを完備している場合の注意点は絶対に瓶のままセラーの置かないことです。温度変化にさらされワインがぼけてしまうので、基本は箱に入れたままがベストです。見た目が悪いという場合は、それぞれワインが置いてある段に透明のカーテンのようなものをつけて下さい。出来るだけセラー内の風が入らない密な環境を作って下さい。それでもワイン自体は冷えますから逆にセラー内の温度変化があっても中は変化がほとんどないのです。これだけでも見違えるほどワインが変わります。


さて提供する際の温度です。最近見かけるのはワインをそのままカウンターの上に置いてあるお店。赤は置きっ放し、白は冷蔵庫かクーラーに入れて提供しています。赤ワインも温度が上がると味わいがぼけてきます。特にコンディションの良いワインは少し低めの温度が良いのでこの点は考慮すべきです。白ワインや泡に関しては冷えすぎると要素が分からなくなりますし、ぬるいと輪郭がぼやけます。でも環境的にそれしか出来ない場合があります。簡単な方法は、セラーから出した時点でワインに直接巻き付けるクーラーを使うこと。これだとかなり良好な温度が維持できます。白や泡だけではなく赤にも使うべきです。ただワインによってはセラーの温度より若干冷やし目の方が良い場合と温度が高い方が良い場合があります。最近ではてらすだけで温度が測れる温度計がありますので、それを利用して温度を下げる場合は若干氷で冷やすなどしてその後クーラーで巻けばある程度温度管理が出来ます。通常ワインクーラーに氷と水を入れてワインを冷やしていますが、これでは温度が下がりすぎます。ワインクーラーで温度を管理しやすくするためには氷だけを入れ放射熱で冷やすことをお薦めします。


さてお店にワインを届けてもらう時はちゃんとリーファーで届けてもらってください。秋口からリーファーを使わない業者もいますが、これではせっかく現地からちゃんと運ばれてきたワインがその一瞬で変質してしまいます。そしてワインが届いたらどんなに忙しくてもすぐセラーにワインを入れて下さい。そして届いたばかりのワインはすぐ提供したりせずに最低でも2〜3日寝かせるのです。ワインは落ち着くほどに美味しくなるのでけっして荒れているワインは提供すべきではないのです。


そしてワインを抜栓する前にする作業があります。通常キャップシールの上部だけを切りますが、全てをとって下さい。この作業に関してはいろいろ言う人もいるでしょうが全てとることに何も問題はありません。くだらないことを言うお客様やマナー的なことを言う人もいるでしょうが、「これが今の最新のやり方です!(知らないんですか、、)(私の先生の指導です」とでも言って一蹴して下さい。


さて何故キャップシールを全部とるかというと、もともと生産者の元にある状態に近づけるためです。蔵元では瓶にただコルクをさしたままで置かれているからです。キャップシールやエチケットは出荷前に貼られるのです。ワインは電磁波などの影響で変わってしまうことはすでに立証されています。電磁波を発すると思われる全ての要素を排除するためです。ですからもしめんどくさくなければインポーターのシールも剥がしてください。キャップシールをとったら瓶の口をよく拭いてください。こちらの方がより清潔でもあるのです。またコルクを抜いた際にたまにコルクの破片が落ちてしまったり、古いワインだとコルクは口にこびりついてしまっている場合がありますが、それも確認しやすくなります。


実は電磁波はエアコンや冷蔵庫テレビからも出ているのです。エアコンを止めただけでワインが美味しくなることさえあるのです。特にテレビがあるところは、お客様の近くにテレビがあるところはワインが美味しくないことが多いのです。


さてよくブショネのワインを提供してしまっているお店がありますが、まずワインを抜栓したらワインの状態をテイスティングで観察しましょう。同じワインでも何回も空けていたら自然にその差が明確になってきます。経験則にもなりますし、お客様にブショネのワインを間違って出してしまう危険も回避できます。またコルクの圧縮度の違いでワインの熟成状態も違うので提供の仕方も工夫できますし、お客様に説明も出来ます。お店の人がワインのことを知っていなければ頼む側も不安に思いますし、信頼も置けません。まずは資格など取る前にワインを少量テイスティングしたり、お客様からワインをいただいてワインを飲むことが必要です。あなたの魅力でお客様からワインをゲットしましょう!経験則が付くと仕事も面白くなってきてワインのこともよく分かるようになりますよ!


次はワインをグラスに注ぐ際の注意点。コンディションの良いワインをちゃんと落ち着けている場合、真上から泡を立てながら注ぐ動作は、今までやってきたワインを落ち着けるという作業とは逆行してしまいます。よってグラスを斜めにしてゆっくりとグラスの縁に沿って注いで下さい。そしてグラスの中全体にワインが行き渡るようにリンスして下さい。ワイングラスは香りが立つように設計されているので余計な香りがついている場合その香りがワインの香りを邪魔してしまいます。ワイン戸棚の香り、お店の香り、水垢の匂いなどグラスに付いてしまう香りは沢山!こういった理由からリンスした方が良いのです。ボトルでお出しする際は、事前にお出しするワインを少量注ぎグラス内をリンスした上でワインを注ぎます。


さてどんな良いワインでもグラスがお出しするワインの性格と一致していなければ美味しさの多くを引き出せません。最近はレストラン用のリーデルなど安いグラスがありますから最低でもブルゴーニュとボルドーグラスだけでも揃えましょう。


デキャンタージュに関してですが、私はデキャンタージュ否定派です。デキャンターすることでワインは滑らかになったりしますが多くの要素を失います。これではもったいない。料理に合うようになる可能性は高くなりますが、だれてしまって美味しくなくなることも多い。デキャンタージュする際もワインが荒れてしまうので私はお薦めしません。温度管理も出来ませんし。もし若いワインを開ける場合は事前にお客様に開けるワインを指定していただき、一日前に抜栓してすぐコルクをさして置いて下さい。液面とワインとの間にある僅かな空気が時間をかけてワインをある程度開く方向へ持って行ってくれます。ただこれは開くまでも緊急回避的な手法。本来は飲めないワインなど出すべきではありません。


さてワインは気圧が低いときは酸がたちやすかったり電子波の問題もあったりで、ワインそのものではない影響もあり非常にやっかい。でもこれらの要因が分かり始めるとワインの世界が更に面白くなってきます。ですから少しでも経験則を積むことが大事なのです。

あの人がこう言ってたからなんて信用するのではなく、とりあえず頭の片隅においておいて自分で実践していろいろと試してみて下さい。私の言葉も例外ではありません。要するにこの様な事例があるということを言っているので、それをちゃんと自分の経験として実体験して欲しいのです。理科の実験と同じです。


これだけ注意しただけでもワインは見違えるほど美味しくなるのです。特にお金をいただいてお客様にワインを提供しているわけですから出来るだけ美味しい状態で提供するのは当然です。ワインが美味しければワインを飲む人も増えるはずです。普段ワインを飲まない方は、ファミレスのワインでも飲んでしまう人たち。そんな方に非是美味しいワインを勧めてみて下さい。


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PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

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