最近のワインの流れ
王道系のワインとニッチなワインの世界といわれているこの2つの方向性。
これはあくまでもワインビジネスという観点から見たワインの流れと捕らえよう。
ワインビジネスの潮流に乗ってワインを販売する人たちにとっては、このニッチと言われている世界の人たちはある意味邪魔な存在ともいえるのかもしれないが、その勢力が与える影響力は今ワイン業界を変えつつあることは確かだ。ユーロの自然回帰への影響も大きく、農業に対する規制もワインに大きな影響を与えている。
自然派への流れは実は海外では商業的に成功しているとはいえず、フランスと日本で持て囃されているに過ぎない。若手の作る自然派ワインの底の浅さが一つの原因になっている部分もあるし、酸化系の香りや風味はとても王道系のワインを愛す人々には受け入れられないだろう。
いわゆる今市場で持て囃されている自然派ワインの多くは、若手のワインが多く中堅から年配の経験がある程度あるような作り手のワインは自然派であろうとその中に含まれるのはわずかである。
自然派の流行の一つの要因は価格が安いという部分にもあり、少しでも高価になるとその人気は落ちる。つまり本当の意味での自然派ワインが認識されているとはいえない状況にあることは確かだ。
自然派の優れたワインはそれなりにコストがかかるし、深い人間的な経験とワイン造りの経験値が必要。一言で言えば今の自然派ブームは実に表面的で流行廃りの状況と変わらないと考えている。
というのも実は本当の意味で優れた自然派ワインはあまり人気の対象となっていないことを見ても明らか。本物の自然派ワインほど、実は流行の対象となっていない。
これは読者獲得、スポンサーの意向などで身動きのとれないワイン雑誌などのメディアの責任も大きい。指針を示すような姿勢が足りないのはまさに致命的である。コストが比較的かからないネットのメディアに期待したいが、まだそのようなサイトは見たことがない。
ワインの生産者側から見ると、メディアを有効に活用している人たち、メディアは否定しないが特別積極的に対応していない人たち、全くメディアにはワインなどを提供していない人たちなど様々である。
ワインの販売に関してみると、昔から有名な生産者ほど販売は好調。しかし、世代交代、時代の変化によって昔美味しかった作り手のワインも新旧入れ替わりが進んでおり、実はかなりレベルが落ちてしまっている作り手も多い。まずはこのことに注意して欲しい。またメディアに取り上げられるのは有料広告もあるので、まやかしのような内容であることも多い。これは日本の有料広告と同様なので注意したい。また有名ワインほど誰もが扱いたいのでコンディションが悪いという事実がある。有名であること、知名度が高いなどという理由でワインを買うと大失敗することになることが多いのである。
ニッチな世界のワインは王道派から馬鹿にされたりすることも多いが、実はワインショップがコンディションを維持することができていないことにも原因がある。特にラシーヌの輸入するワインはコンディションが良いからこそ良さのわかるワインが多く、王道系のワインのように熱が入ってもある程度大きな要素が魅力的に写るような造りはしていない。現在王道派が主流であるのもインポーター、ワインショップの責任が非常に大きいのである。
しかし私は実はあまり心配していない。市場規模から見たらまだまだ小さいが、私がコンディションを重要視してから15年の間に、ラシーヌ、フィネス、ラフィネなどのインポーターを中心に確実にコンディションの良いワインはワイン愛好家に受けいられ市場規模を伸ばしているのだ。昔はワインビジネスをわかっていないなどと市場関係者から馬鹿にされていた世界が今これほどまでに大きくなってきたのだ。そしてそれらのワインを愛してくれるワインファンも確実に増えているのである。特に今ワインの需要が伸びワインは好きだが特別な知識を持っていないワインを飲むことが好きな方々こそこのコンディションの良いワインを飲んでいただきたい。多分単純に反応してくれることは間違いない。
まさにワインビジネスは一つの転換期に来ていると感じている。
ワインの質が上がり、酸化防止剤の添加量も減少する中、ワインはコンディション次第ではその魅力を大きく失ってしまう。単純に飲めばわかるほどの明確な違いなのだ。
ただ残念なのは、飲食店などでまだまだ模範となるようなワインを飲ませてくれるお店が少ない。というかほとんどない。
このような模範となるべきお店を増やしていくこともこれからのワインホリックの使命だとも感じています。もしこのような指向をお持ちの飲食店は是非わからないことがあればいつでもご相談ください。
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