ワインのコンディションを保つ努力

インポーターによって何故ワインのコンディションにこれほどの差があるのか。

一般消費者にはなかなかわからないことだと思います。実際にワイン生産国に行ってワインを飲んでも、あまり扱いが良くないために本来の姿を確認することは難しいのが現状です。ですから生産者の元に行かなければ本来の姿を確認することが出来ないのが現状です。

日本人は形から入ることが多いためにその形の原型となっている基本がどこにあるのかが重要なのです。その基本は生産者のワインではなく現地でのワインの扱い方とその姿が基本になっていることが多いのです。これでは今の日本のワインの現状もまさに間違った形そのものであって基本を間違えるとこのようなことになるという典型でしょう。

とあるワイン雑誌がフィネスやラシーヌの社長などもテイスターとして交え他のインポーターとの比較試飲をしたようですが、本来の結果が出なかったようです。一見正しそうな結果に見えますが、これには大きなまやかしがあります。私も何度かこのような雑誌のテイスティング状況を経験しましたが、ワインは大きなテーブルに置かれ温度は高く状態も荒れていました。つまりテイスティングするワインの状況が悪ければ大きな差が出にくいことになります。

ラシーヌのテイスティング会ですらたまに不安定なときがありますし、テイスティングする際のワインの落ち着き具合、温度管理によっては本来の味わいが再現されないことが多いのです。


さてインポーターによるコンディションの差には大きな理由が沢山あります。まずフランスを例に挙げるとフランス国内の輸送に関してはヒルブラントを使っているところが多く、定温輸送と常温輸送に分かれています。実際に定温輸送で運んでいるインポーターは少ないのが現状。インポーターが表明しているトータル的なリーファー輸送も実はかなり怪しいのが現状です。

では定温輸送を依頼しているインポーターのワインが必ず定温輸送されているのかというのもかなり怪しいのです。実際耳にするのは定温輸送を依頼しても実際は常温輸送されている事例が多いのです。ここが日本と違うところです。

また生産者もトラックが来るかなり前にワインを外に出すことが多く、天候や季節にもよりますが、外に出している時間が長いほどワインは確実に劣化するわけです。

これらの問題をどのようにクリアーしていくのかがインポーターの手腕なのです。

南アフリカなどでは定温コンテナが非常に少なく手配することでさえ難しく、ラフィネのワインしかまともな状態でないと言うことはそれだけ苦労していることがうかがえます。


船の輸送はかなりリーファーが増えていますが、船が日本に着いてから保税倉庫に入れる間にも問題があります。ここにも注意しなければなりません。


さてインポーターの仕事は輸入するだけでなく日本の倉庫でどのような管理をするかと言うことも仕事です。どの倉庫を選び、倉庫のどの場所を選ぶのかも重要です。関西系の倉庫の多くは18度管理、関東系は14〜16度が多いのです。ここにも大きな問題があります。とある有名インポーターの倉庫が18〜20度管理という情報が入りましたが、その最も大きな理由は倉庫側の従業員が風邪を引くからということでした。実はこの話は2回ほど聞いたことがあるのですが、ワインより従業員が大切なようです。どうりでそこのインポーターのワインは輸入直後から見事に開いているはずです。

最近はインポーターの出荷でもバラだしが多くなりましたが、輸入直販のインポーターの場合、箱に入れるのではなく倉庫にそのままワインを置いてある場合が多く、倉庫の温度変化の影響を直接受け、あまり輸入状況の良くないワインが更に悪くなっていることがうかがえます。


ワインホリックの常識ではせっかくちゃんと輸入したワインを出荷の際、顧客に常温かリーファーを選ばせること自体問題だと思います。当然酒屋でもそのようなことが多く行われていますが、その時点でコンディションに関しての意識が低いことをうかがわせます。ワインを扱っている側に高い意識がないことが露骨にわかる瞬間です。こういった部分でワインのことをわかっていない顧客の意向を聞くこと自体終わっているのです。


せっかくインポーターがちゃんと輸入したワインでも、一瞬の不注意でワインは元の子もなくなってしまう。何故このことがわからないのでしょうか。このような意識の低いところにはワインは扱って欲しくないものです。


これだけ問題のある日本のワインとはいえども、コンディションの良いインポーターはある意味世界最先端のノウハウを持っているともいえます。ワインを作る側と扱う側の意識の差を埋めるためにはやはり日本から世界に向けての発信が必要でしょう。最近は職人の仕事、サービスなど日本初の世界を変えるような事例が沢山あります。コンディションに関する意識の高いインポーターと意識の高い生産者がタッグを組んで世界を変えてほしいものです。


CONTENTSに戻る

PUR SANG

美味しいワインがなかなか見つからない、ワインのことが今ひとつよく分からない、美味しいワインを探したり美味しく楽しむためのテクニックを学んでみて下さい。

0コメント

  • 1000 / 1000