リーズナブル系ワインの価値
世の中的にリーズナブル系ワインは最もよく売れる。当然みなさん、普段お飲みになるワインは安くて旨いことが基本だろう。
世の中色々なワインが輸入されているが、インポーターによって本当に違うのである。
あるインポーターはすべてのワインが緩くただ飲みやすいだけ。
あるインインポーターのワインは一瞬コンディションがちゃんとしてそうに感じるが、実は少し緩く輪郭が若干ぼやけている。しかし飲みやすく一瞬美味しく感じる。
酷いところは最初からただ不味いだけ。
こういったワインに共通することは、飲み続けると飽きてくるようなワインであること。一瞬の飲み口に騙されるのである。また価格が安いことで自然とそれ以上求めることを諦めてしまう部分もある。
さて状態の良いリーズナブル系のワインは、果実味という部分で見ると上級キュヴェよりも薄く、そしてポテンシャル的にも低いことは明らかである。樽の中でも早熟なワインを瓶つめする場合もあり、全体的に早熟な作りであることも共通する。だから上級ワインと比べて飲んでしまうと明らかな違いがよくわかる。
ところがそんなワインでも、状態が良いとハッとするような美味しさがあるのだ。このためには状態が良く酸が壊れていないことが条件となる。酸が壊れていないが故にワインとしての輪郭も明確で果実の旨味もよく伝わってくるのだ。早熟系のワインの方が早く本来持っている表情が現れやすいという特徴もある。普段、食事に行った際はまずこういったワインから楽しみたい。
ワインには順番があって後になるほどに美味しいワインを飲むという鉄則がある。料理も品数が進むほどに味わいが濃いものになっていくことが多い。それに合わせてワイン選びをすることが大事。
そして例外的に安くてもすごいワインがある。例えばクロ・ド・ティエ・ブッフやロルチュのように熟成すると化けるようなワインもある。だから安いからといってみんな共通だというわけでもない。
ここにワイン選びの醍醐味があるとも言える。
お店などではこの価格帯が欲しいという要望が多いが、価格だけで捉えるのではなくほんの数百円違っただけでこんなに違う世界があるんですよと教えていくことも必要なのではないだろうか。世の中価格にこだわるような部分が多く感じられるが、実はそれほど大きく価格が変わらないのであれば多少高くても納得できるワインの方が受けは良いのである。もっと満足感という意味合いをよく考えた方が良い。
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