ワイングラスの選び方と使い方
ワインはグラスによって驚くほど表情が変わり、グラスによってはまるで別のワインのように感じることがあります。ワインは単品種のものからブレンドによっていろいろな品種を組み合わせたもの、国地域による違い、生産者による違いなど様々。ですからそのワインの特徴を把握した上でグラスを選ぶことが大切です。
一般的には葡萄品種や酒質のタイプによってグラスを選別するのが一般的です。リーデルのヴィノムシリーズを基準として考えていきましょう。
ヴィノムシリーズにはピノ・ノワール、ボルドー、シラー、シャンパン、デザートワインなどの種類があります。それぞれのグラスを揃え、品種やタイプによってグラスを替えるだけで驚くほど魅力的になることに気がつくはずです。どんな高価で有名なワインでもグラスが的確でないと本来持っている魅力の一部しか分からないこともあるのです。
グラスは香りと実際に飲んだときに味わいのバランスを考えて作られています。そのバランスを品種やタイプごとに変えているのです。
さてこのようにグラスを替え楽しめるようになってくると気がついてくることがあります。
たとえばピノ・ノワールでも生産者による違い、国地域による違いで驚くほどいろいろなタイプのワインがあることに気がついてくるはずです。たとえばシャンパン、通常は縦長のグラスで楽しむことが多いのですが、ピノ・ノワールのグラスで飲むと驚くほど魅力的に感じることがあります。香り高く芳醇なシャンパンなどはもっと要素を出してあげた方がより美味しく感じるためにグラスを別のものにした方が良い場合があるのです。ボルドーグラスの方が美味しく感じる場合もあります。
このようにいろいろと試してみると自然と経験則で分かるようになってきます。
さてリーデルから始まった品種ごとのグラスは、最近ではいろいろなタイプのものが出回るようになっています。このようなグラスが出回るようになってきたとき、何でもかんでも大きなグラスで出すようなお店もありましたが、グラスは大きければ良い、高価であれば良いというのは間違いです。
ワインの状態が悪い場合、欠点ばかりを誇張してしまう場合があります。状態の悪いワインは出来るだけ欠点を目立たせないようにすることが大事なのです。
フィネスの芥川氏が始めた和吉グラス。このグラスの凄いところは今まで大きめのグラスの方が良いとされていたグラスの常識を大きく変えたことです。小ぶりのグラスなのにこのグラスを使うだけで今まで見えなかったワインの魅力を見せてくれるのです。
ワイングラスは高価で割れやすいのでそれだけで購入することを躊躇してしまうでしょうが、同じワインでも何倍にも魅力的にしてくれるわけですから、自分の中の常識を少し変えてみたらいかがでしょう。
さてここからはワイングラスの使い方です。
ワインのグラスは食器とは別のスポンジで傷がつかないものを選んで洗って下さい。食器のものと一緒だと脂分がつきグラスが曇ってきます。拭き上げる際のふきんもグラス専用のものを使います。グラスが綺麗がどうかでワインの味わいも変わってくるのです。
ワインのグラスをワインを入れない状態でかいでみて下さい。なんか変な匂いがしませんか?水垢の匂い、しまってあった戸棚の匂い、生活臭、ワイングラスはどんなに綺麗にしても香りがつきがちです。
そこでワインを注ぐ前に少しだけグラスにワインを注ぎ内面全体をリンスします。このようにするとグラスの内面はワインだけの香りになるのです。これだけでより美味しくワインを楽しむことが出来ます。
さてそろそろグラスにワインを注ぐことにしましょう。ここからは新常識です!
グラスにワインを注ぐ際に皆さんは泡が立つように注いでいませんか。かつての常識は空気をより含ませることでワインを開かせることを目的に糸のように細くしながら注ぐこともありました。実は大昔のワインは現代のワインのように早熟ではなくがちがちだったり、デキャンターをして数時間経たないと開いてこないようなワインが沢山ありました。このようなワインを抜栓して飲むわけですから飲み頃になっていないワインを開けることもしばしばあったのです。このようなワインの場合、とりあえずどれだけ美味しく感じるようにするかが重要でそのために前述のような注ぎ方をしていたのです。
ところが現代のワインのように早熟系になってくると、今度は逆に昔のような注ぎ方をするとワインの魅力を失いがちになるのです。ワインは落ち着かせるほどに美味しくなるのはどうしてでしょう。それは分子が安定するからなのです。分子が安定すると本来ワインがもつ要素を明確に感じることが出来るようになります。このような状態のワインを昔のような注ぎ方をするとワインを荒らしてしまうことになるのです。瓶ごとシェイクしているようなものです。
ですから現代ではワインを注ぐ際は出来るだけグラスを斜めにし、グラスの角度に沿って緩やかに注ぐことが正しいのです。そしてグラスを回しすぎないこと。
よく落ち着いたワインをこのようにして飲むと全く別の世界が見えてくるのです。
ジャバジャバ注ぐと、一時的に大きな要素が誇張され美味しいと勘違いしがちですが、飲み比べてみるとよく分かります。注ぎ方が悪いワインは細かい要素やワインの輪郭が見事になくなっています。
どうでしょう。ちょっとめんどくさいなと思った方も多いのではないでしょうか。でも少しずつで良いので実践してみて下さい。高価なワインを買うよりも効果があるんですよ!
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